【2024年問題 福島県内の現場から】建設業 働き方改革 工期優先、休日確保進まず 

 働き方改革関連法の施行により4月1日から建設業にも時間外労働の上限規制が適用となる。ただ、工期内完工を求められる現場で休日確保は思うように進まないとの指摘が上がる。福島県建設業協会の今年度の調査によると、目安としてきた建設現場での「4週8休」以上を実現できた会員企業は約2割で、労働時間の適正化には事業者間で差が生じている。人手が少ない小規模事業者は深刻とされ、関係者は「適正な工期への理解がさらに広がってほしい」と訴える。

 協会が会員企業を対象に行った工事現場の定休日に関する調査結果は【グラフ】の通り。4月の規制開始を前に県内の多くの事業者が勤怠管理などの最終確認や労働時間の適正化に向けた研修を進めており、休日取得は以前より進んでいる。しかし、「4週6休」はまだ6割ほどで、「4週4休」も残っている。

 協会によると、作業員が少なかったり専門的な工事を担ったりする事業者ほど休みの確保が進んでいない傾向がある。業界全体で人員配置の工夫やデジタル技術の導入を急ぎ、「4週8休」以上への移行を進める予定だ。一方で、非会員企業や下請けが多い小規模事業者が円滑に移行できるかは、直前となった現段階でも不透明という。

 天候や現場の状況などで工事は予定通り進まないことがある上、慣習として工期内の完了を迫られるケースは依然としてある。こうした建設業特有の事情が休日確保の支障になっていると協会は分析する。報告書類の作成など事務作業も負担になる場合が多い。公共事業を発注する国や県は新年度、完全週休2日を前提とし、工期も休みの確保を考慮して設定するなど労働時間適正化を後押しする。県内の42市町村も新年度の発注工事に取り入れる。

 一方、民間の工事は経営戦略上、完成を急ぐ場合や工期を最短で設定することが多く、作業員の勤務状況の改善には経済界への理解醸成が必要との声もある。県外の企業の発注工事を請けた中通りのある建設業者は「工期内に終わらせるため、土日も作業せざるを得ない」と明かす。県内の復興関連工事は減少傾向にあり、受注競争が激化する。発注者が求める工期内で完了させようとする事業者を中心に労働時間の順守が進まないことを協会などは危惧する。

 建設業の担い手不足が課題となる中、協会は働き方改革を若い人材確保の契機にしたい考えだ。無理のない工期の設定や柔軟な対応は不可欠で、「社会全体に理解が広がるよう要請や発信などの取り組みを強化していきたい」とする。

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