年度末の道路工事、なぜ多い? 予算消化?真相は 藤沢市

工事を告知する看板。ガス工事や道路舗装、河川では護岸工事などさまざまな内容が掲示されている(いずれも3月市内)

「また道路工事か」。3月中旬のある日、車で移動していると度々渋滞に遭遇し、取材時間に遅れるのではないかとやきもきした。そこであることに気が付いた。3月と言えば年度末だ。そういえば、年度末が近づくと市内に限らずいたる所で道路工事が多い印象がある。真偽は不明だが昔、「年度末は予算消化のために公共工事が増える」なんて話も耳にしたことがある。真相はどうなのか、市に尋ねた。

「結論から言うと、道路工事に限らず、予算消化で公共工事が増えることはありません」

市道路整備課の職員がきっぱりと言い切る。同課では道路の改良や用地整備などを担うが、工事は市の年間予算に計上。原則単年度ごとに個別の事業が予算化されるため、予算消化の仕組み自体が存在しないという。

ただ、こうも付け加えた。「年度末は工期の期限と重なるため、年明けから2月頃に竣工することが自然と多くなる」

どういうことか。同課の工事は半年前後かかるものが多く、年度初めに入札期間を経て工事を発注。事業者が着工するまでも手続きが必要で一定の期間を要するため、年度の後半に集中する傾向にあるのだという。

市契約課によると、2022年度の入札により受注者を決定した道路維持、道路整備、下水道管路の3課による工事件数は94件。月ごとの稼働件数を見ると、10〜翌年3月が296件で4〜9月の200件より約1・5倍多かった。

道路占用年間4千件超

一口に道路工事といっても道路の補修に加え、ガスや水道、電気、通信などがあり、民間が請け負うケースも多い。市道路管理課によると、同年度の道路占用許可件数は4020件。うち半分程度が民間の工事だった。

民間視点ではどうか。市内で水道管工事を手掛ける会社関係者によると、「公共工事は2、3月に仕上げることが多い」という。公告が出てから入札、計画書の作成、周辺への周知などを含めると半年程度かかり、完成時期が年度後半にずれ込む。行政と同様だが、「決算月のため、竣工スケジュールの照準を3月に当てている」という民間事業者ならではの事情もあるようだ。

国は年間を通じた公共工事の平準化を推進しており、市も年度をまたいで工事を発注するなど、年度初めにも工事が進捗するよう対策を図る。

一見すると中身が分からない道路工事が官民ともに年度後半に集中することが、件数の実感につながっているようだ。

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