長崎・大石知事 火・水曜は“庁外対話” 「県勢発展に必要」と強調も…「業務停滞」に心配の声

 火曜日から水曜日午前にかけては“庁外対話”の日-。大石賢吾知事は新年度から、県民との意見交換や現場視察の機会を増やす。「県勢発展に必要」と強調するが、県庁内ではトップ不在による「業務停滞」を心配する声も聞こえる。任期折り返しのタイミングで各方面に顔を見せる姿勢に「次の選挙を意識している」ともささやかれる。
 「県民の話を聞き、各地域を見たい」。15日の定例記者会見。任期後半の取り組みを問われた大石氏は、積極的に庁外へ出て対話を図る考えを示した。
 就任後2年間で、県民や企業・団体などと意見交換する車座集会を13回開催。それでも対話の機会を「もっと持つべきと感じた」という。庁外対話に充てる火、水曜日は年間100日程度ある。「できる限り外に出たい」としており、相当の時間を要する。
 福祉保健の増進や産業振興、防災など県の役割は幅広い。各部局の職員はレクチャー(説明)などで頻繁に知事と面談する。各種会議、陳情やPRでの来客も多く、知事の外出が増えれば時間確保が難しくなり、「仕事が滞らないか」と不安視する職員は少なくない。
 こうした懸念に大石氏は「今も移動中に(リモートで)レクチャーを受けるなどして時間を捻出している。工夫して影響が出ないようにする」と説明する。
 庁外対話の位置付けは、政治家としての「政務」ではなく、行政トップとしての「公務」という。そのため、担当職員はスケジュール調整や県民への情報発信を求められ、幹部職員の随行も想定される。庁内には「成果が出れば問題はない」との意見がある一方、「地域住民に近い市町長ならともかく、それほど行くべき場所があるのか…」との疑問が漏れる。
 「わざわざ現場に出向くのは次の選挙を意識しているからだろう」。そんな冷めた見方をする議員や職員を横目に、大石氏は「施策を進めるためにやるべき。(対話や視察は)県勢発展のため必要」と主張する。

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