住宅ローン、「繰り上げ返済」でローン総額を抑えられるが…“あえて”「ゆっくり返済」を選んだ方が良いケース【FPが解説】

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無駄な出費を抑えて今使えるお金を増やし、老後まで豊かな未来を実現するためには、どうすればいいのか。金融資産3億円を超え、自身も富裕層の仲間入りを果たしたファイナンシャルプランナーである立川健悟氏の著書『お金が増えるのは、どっち?: 読むだけでお金持ちになる!』(三笠書房)より、一部抜粋して紹介する本連載。本当にお金を増やした人たちの、超実践的なお金を増やす方法を立川氏が解説します。

自動車保険は「毎年見直す」「継続して更新」?

忘れたころにやってくるのが、自動車保険更新のお知らせ。あっという間に期日となり、そのまま継続して更新を選ぶ方も少なくないでしょう。

でも、お金を増やすためには、毎年見直すことがおススメ。各損害保険会社は、新規契約者向けにさまざまなサービスを用意しています。インターネットからの申込みで1万円以上割引されることもあります。満期日のたびに別の会社へ乗り換えることを検討しましょう。等級を引き継ぎながら、継続による更新よりもお得な契約を締結できる可能性が高いです。

過去に契約した保険会社であっても、新規契約者向けサービスは何度でも利用できます(会社によって異なります)。ぜひ、ご検討ください。

自動車保険を乗り換えると

現在の契約期間中に事故がない場合、乗り換えには下記のメリットとデメリットがあります。

●メリット

・新規契約特典を受けられる

・保険料の負担が軽くなる場合がある

・サービスや補償を、自分に合ったものにできる

●デメリット

・満期日前に乗り換えた場合、乗り換え先の保険

・会社で次の満期日を迎えるまで等級が上がらない

・一部の共済からは、等級を引き継げない

・必要な補償がなくなる可能性がある

毎年見直すことで大きな違いも

車の性能向上とともに交通事故死亡者は年々減少。運転者の情報を分析・取得して保険料を割り引くテレマティクスも登場し、さらに割安になると期待されています(【図1】普通車(車両保険あり)・無事故の場合)。

【図1】普通車(車両保険あり)・無事故の場合 対人・対物無制限、車両保険150万円、特約なし、無事故の場合

〈Point〉

比較検討には一括見積もりサイトの活用がおトク。一度の入力で複数社の見積もりが取れるうえ、見積もり依頼をするだけで、プレゼントが当たるキャンペーンなども行なっています。

ただし、各保険会社で補償内容や特約の種類が違うので要注意。検討の際には、保険料だけでなく、補償内容についてもチェックしましょう。保険料が安くなった分、必要な補償もなくなっていたということのないようご注意ください。

【Answer】新規契約者向けサービスと改訂された保険料を見比べて毎年見直す!

住宅ローンは「繰り上げ返済」「ゆっくり返済」?

繰り上げ返済とは、毎月の返済額以外に、貯蓄やボーナスなどを使って、住宅ローンの一部を予定よりも早く返済すること。トータルで支払う利息を減らすことができるため、ローン総額を抑えることができます。

ただ、やりすぎには要注意。子どもの学費が足りなくなり、金利の高い教育ローンを組むケースも見られます。繰り上げ返済は、借入金利が低いと、大きな効果が得られません。

そのため、低い金利で住宅ローンを借りることができている現在においては、あえて繰り上げ返済をせずに、ゆっくり返済がおススメ。 余剰資金を投資に回すことで、返済する利息分以上のリターンを得て、資産を増やしましょう。

繰り上げ返済の2つのタイプ

繰り上げ返済には以下の2種類があります。あなたの希望に合わせて使い分けましょう。

●返済額軽減型

→返済期間を変えずに、毎月の返済額を少なくする

例:・子どもの進学に合わせて返済額を減らしたい

・金利の変動によって増えた返済額を減らしたい

・転職や配偶者の収入が減る予定がある

●期間短縮型

→毎月の返済額を変えずに、返済期間を短くする

例:・定年までに返済したい

・金利の変動によって増えた返済額を減らしたい

・少しでも支払う利息を減らしたい

繰り上げ返済よりも投資がお得?

4,000万円を元利均等返済の35年ローン(金利1.0%)で借りている場合(【図2】繰り上げ返済せずに、ゆっくり返済する場合)。

【図2】繰り上げ返済せずに、ゆっくり返済する場合 総返済額 約4,743万円 ※繰り上げ返済にかかる費用や、投資にかかる手数料は考慮していません。

〈Point〉

繰り上げ返済には手数料がかかることがあります。特に地方銀行で住宅ローンを組んでいる人は、手数料が高く設定されていることが多く要注意。定期的に繰り上げ返済を検討しているなら、手数料のかからないネット銀行への借り換えもおススメ。

繰り上げ返済をするなら、早く実行したほうが有利。返済額が多ければ多いほど、返済のタイミングが早ければ早いほど総返済額を軽減できます。

【Answer】余剰資金は返済より運用へ! 低金利の期間の住宅ローンはゆっくり返済!

立川 健悟

ファイナンシャルプランナー

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