職員の名札、名字のみに 青森・弘前市、4月から試行 誹謗中傷やストーカー対策

4月から弘前市が採用する名字のみの名札(左)と、これまでのフルネームの名札

 青森県弘前市は4月1日から、市職員の名札をフルネームから平仮名の名字表記に変える。職員がインターネットで検索され、誹謗(ひぼう)中傷されたり、ストーカー被害を受けたりすることを防ぐのが目的。県内市町村では珍しい取り組み。5月末まで試行し、業務に支障がなければ6月から本格運用する。

 対象となる職員は、正職員、再任用、会計年度任用職員の約2千人。所属の表記は、これまでの部・課・係・担当から、部と課のみとする。課長補佐以下の職名は省略する。字体は読みやすいユニバーサルデザインを採用する。

 名札から職員の名前が特定されトラブルになった他県の事例や、全国的に名字表記の名札を採用する流れがあるため庁内で検討してきた。安心して働ける環境を整備するほか、市民が読みやすい表記にするという狙いもある。

 弘前市人事課の担当者は「漢字では読みにくい名前の職員もいるので、分かりやすい平仮名表記とした」と説明。同市役所では今年1月、刃物を持った男が窓口で職員を脅す事件が発生しており、同担当者は「事件が職員の心理に与えた影響は、ないとは言えない。フルネームが表記されないことで職員の安心につながる」と話した。

 県によると、名字表記を採用している県内自治体については把握していないという。

 県外では佐賀市が2023年度から、全職員対象にフルネームから名字表記に。千葉県いすみ市が23年9月、フルネームから平仮名の名字にしている。

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