国見町が民間企業と共同開発した高規格救急車を貸し出す事業を断念したことを巡り、町議会が設置した地方自治法100条に基づく調査特別委員会(百条委員会)は28日、引地真町長らの証人喚問を行った。委員は町職員が私的な交流サイト(SNS)を通して、公募に関する決裁前の文書などを事業者側に見せていたとする資料を提示。「特定の業者に有利となるようにした入札妨害ではないか」と追及した。
事業者は町と事業契約などを結んでいた備蓄食品開発のワンテーブル(宮城県多賀城市)。委員が提示した資料は、町と複数の民間事業者が地域課題解決などに取り組む「国見町官民連携共創コンソーシアム創出事業(カプコ)」の公募型プロポーザルを巡るSNSでのやりとりとみられる。複数人が「決裁前で修正が可能です」「予算の件、スケジュールの件、検討させていただきます」などとやりとりしていた。
委員の追及に対し、引地町長は「やりとりについては承知していない」「全て持ち帰って精査する」と述べ、やりとりの有無についての明言を避けた。
事業は公募され、2022年1月下旬に事業者が決定。ワンテーブルが事務局を務め、取り組みの一環として、高規格救急車を貸し出す事業などが計画された。
委員会は調査結果の報告について、6月の公表を目指し検証していくとした。