「500万円の掛け軸」を親から譲り受けることに。これって「税金」はかかる?

掛け軸は贈与税や相続税の対象?

1年の間に合計110万円以上の価値のある財産を個人から受け取った場合は、贈与税が発生します。

金融広報中央委員会によると、現金を受け取った場合以外にも、次のようなケースで贈与税がかかることがあるようです。

__●自分が掛金を負担しないのに、生命保険や損害保険の保険金を受け取った場合
●著しく低い価額で財産の譲渡を受けた場合
●対価を支払わないで、借金の免除をしてもらった場合
●対価を支払わないで、不動産や株券の名義を自分に変更してもらった場合
●返済能力もないのに、親兄弟などからあるとき払いの催促なしで多額の借金をした場合__

上記より、骨董(こっとう)品としての価値がある掛け軸も財産とみなされ、贈与税が発生する可能性があります。

一方、相続税は死亡した人の財産を相続によって取得した場合にかかる税金です。

金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのものが対象となるため、掛け軸を取得した際にも相続税が発生する可能性があるといえるでしょう。

贈与税の税率は?

500万円の価値がある掛け軸を譲り受けた場合にかかる贈与税の金額は、基礎控除額である110万円を差し引いた金額に税率を乗じて計算します。

税率は、親から子どもへの贈与で子どもが未成年の場合などに使用する「一般税率」と、子どもが成人している場合などに使用する「特別税率」の2種類があります。

500万円から基礎控除額である110万円を差し引いた金額である「390万円」には、以下のような税率と控除額が適用されます。

__一般税率の場合:税率20%、控除額25万円
特別税率の場合:税率15%、控除額10万円__

例えば、成人している子どもに親が500万円の掛け軸を譲渡した場合だと「特別税率」を使用するため、次のような計算になります。

(500万円-110万円)×15%-10万円=48万5000円

相続税の税率は?

相続税には「基礎控除」というものがあり、その範囲内であれば相続税は発生しません。

基礎控除額は「(3000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)」で計算できます。

例えば、法定相続人が3人いる場合は4800万円まで相続税がかからないことになるため、ほかの財産と合計しても4800万円以内であれば、税金の心配はいらないでしょう。

相続税が発生する場合は、課税価格の合計額から基礎控除額を差し引いて課税遺産総額を算出し、相続人ごとの法定相続分に税率を乗じて相続税の総額の基となる税額を算出します。相続税の税率について、表1にまとめました。

表1

※国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問)No.4155 相続税の税率」を基に筆者作成

相続税の基礎控除を引いた金額に、表1の該当する税率をかけて控除額を引くと、納めなければならない税金が分かります。

掛け軸の価値の確認方法は?

親から譲り受けた掛け軸に本当に500万円の価値があるかどうかを調べるには、実売実例価格を参考にする方法があります。

インターネットや市場で同様のものが販売されていないかをチェックしてみましょう。

また、その分野の専門家に鑑定してもらう方法もあります。

500万円の掛け軸を譲り受けたときは贈与税や相続税がかかる可能性がある

親から500万円の価値がある掛け軸を譲り受けたときは、贈与税や相続税が発生する可能性があります。

それぞれの計算方法について確認しておくといいでしょう。

掛け軸の価値を調べるには実売実例価格を参考にしたり、専門家の鑑定を受けたりする方法があるので、検討してみることをおすすめします。

出典

金融広報中央委員会 知るぽると 10.贈与税はどんなときにかかるか
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)No.4155 相続税の税率

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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