子どもの教育費用「300万円」をタンス預金で貯めました。将来子どもに渡すと「贈与税」は発生しますか? 非課税になる場合もあると聞きました

タンス預金に関係なく110万円を超える贈与には贈与税がかかる

親から子ども、あるいは祖父母から孫にお金をあげること自体は、何ら問題になることではありません。当事者のうち、贈与者(贈与する側)が受贈者(贈与を受ける側)に財産を無償で与える意思表示をし、受贈者の承諾をもって成立する契約のことを「贈与」と呼びます。

ただし、贈与税の基礎控除額である110万円以上の金額の贈与を受けた場合、受贈者が「贈与税」を納税する必要があります。仮に300万円の金額を贈与した場合、110万円を差し引いた残りの190万円に対して贈与税がかかる計算です。

贈与税がいくら発生するかは、贈与する金額によって異なります。父母や祖父母などの直系尊属から、贈与を受けた年の1月1日において18歳以上の子どもや孫に贈与した場合、特例贈与財産として計算されます。それぞれの贈与額に対する税率と控除額は図表1のとおりです。

図表1

国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)を基に筆者作成

例えば、父母から18歳以上の子どもに300万円贈与するケースで発生する贈与税は以下のとおりです。

(300万円-110万円)×10%=19万円

なお、300万円の贈与を受けた子どもは、翌年の2月1日から3月15日までに贈与税の申告と納税が必要です。

教育費用として子ども贈与する場合は基本的に贈与税が発生しない

贈与額が1年で110万円を超えるケースでは贈与税の課税対象になりますが、財産の性質や贈与の目的によっては贈与税が課されない場合もあります。

夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から、生活費や教育費用のために取得した財産であり、通常必要と認められる範囲内であれば贈与税はかかりません。例えば、教育費用の場合、学費や教材費、文具費用などに充てるための贈与であれば、贈与税の対象外になります。

ただし、生活費や教育費の名目で受けた贈与であっても、そのお金を預金したり株式投資などに利用したりすると、贈与税がかかることになるので注意が必要です。また、一般的な範囲を逸脱するほど高額な贈与と判断された場合にも、常識の範囲を超えた金額に贈与税がかかる可能性があります。

贈与したお金の用途をはっきり証明するために、領収書を保管すると同時に、可能なら手渡しではなく金融機関に振り込むことで贈与額や贈与日を明確にすると良いでしょう。

生活費や教育費用以外の贈与は贈与税がかからないように工夫する

贈与税が心配であれば、贈与額を年間で110万円以下に抑えましょう。1年間の贈与額を110万円以内に納めれば、贈与税は発生しません。

ただし、300万円を毎年100万円ずつ贈与すると取り決めしてある場合は定期贈与と見なされ、贈与開始時点で300万円を贈与する意思があったと判断される可能性があります。定期贈与では、贈与額の合計について贈与税が課されるので注意が必要です。

定期贈与と見なされないために、以下のようなポイントを守って毎年贈与すると良いでしょう。

__●毎年必ず贈与契約書を作る
●毎年異なる金額を贈与する
●毎年異なる時期に贈与する__

まとめ

タンス預金をすること自体に税金はかかりませんが、子どもに贈与した金額や目的次第では贈与税がかかる場合があります。一般的には、年間110万円を超えた金額に贈与税がかかることになります。

ただし、生活費や教育費用の贈与であり、常識の範囲内で認められる金額であれば贈与税はかかりません。贈与税の性質を正しく知ったうえで、子どもにいつ、いくら贈与するかを決定していきましょう。

出典

国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 No.4429 贈与税の申告と納税

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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