世界製油能力の20%超が危機 マージン低下や炭素排出削減で=調査会社

Natalie Grover

[ロンドン 28日 ロイター] - エネルギー調査会社ウッド・マッケンジーは28日、世界の製油能力の20%超が停止の危機にあるとの見方を示した。ガソリンのマージン低下や炭素排出削減への圧力が強まっているためだという。

同社は世界の製油所465カ所を分析。炭素排出コストなどの推計に基づくと、閉鎖されるリスクが高い製油所の数は欧州と中国が最も多く、合計で日量約390万バレルの製油能力が停止危機にあると説明した。

欧州は11カ所と、閉鎖リスクが高い製油所全体の45%を占める。欧州石油環境保全連盟(Concawe)のデータによると、欧州では2009年以降に約30カ所の製油所が既に閉鎖。約90カ所が稼働中となっている。

相次ぐ閉鎖は、中東やアジアで新たに増えた製油所との競争に加え、新型コロナウイルス感染拡大の影響が背景にある。

また、ガソリンマージンは今後、需要減少と対ロシア制裁の緩和で低下すると見込まれ、炭素税も影響を及ぼし始めるとみられている。

ウッド・マッケンジーのシニア石油・化学製品アナリスト、エマ・フォックス氏は、操業コストが大幅に増える可能性があるため、「閉鎖が唯一の選択肢になるかもしれない」との見解を示した。

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