水源から河口まで、長江の水と生態系を守る取り組み

水源から河口まで、長江の水と生態系を守る取り組み

青海省玉樹チベット族自治州治多県に位置する「万里長江第一湾」。(2022年8月10日、西寧=新華社記者/范培珅)

 【新華社西寧3月29日】中国で最も長い川、青海省から上海市まで流れる長江は長年にわたり、あらゆる関係者が力を合わせて保護し続けている。

 青海省玉樹チベット族自治州治多県は「万里長江第一県(長江源流の県)」として知られる。同県多彩郷には長江の源流となる古い氷河があり、重要な支流である聶恰河が流れる。

 2018年、多彩達生索布査葉水源保護青年ボランティアサービス隊が結成され、ボランティア160人以上が長江の水源保護に参加するようになり、山と川の巡視、ゴミ拾い、野生動植物モニタリングなどを担当している。

水源から河口まで、長江の水と生態系を守る取り組み

長江源地区で撮影した氷河と湖。(2022年7月21日、小型無人機から、西寧=新華社記者/張竜)

 多彩郷党委員会のロスムイェシェ書記は、同郷達生村がここ数年、重点的に水源保護理念の継承、構築を行っており、青年ボランティア隊による定期的な水源モニタリング活動が長江源流地域の生態保護に貢献していると説明した。郷は10年から現在まで、水源を合計1337カ所把握し、達生村だけでも水源767カ所、湖沼125カ所、凍らない泉70カ所、氷河水源25カ所を確認した。

 6千キロ以上流れた長江は、上海から海に注ぐ。手つかずの美しい自然が残る長江源流とは対照的に、下流は中国で最も都市化の進んだ地域の一つである。

 上海市では長江下流の清流を守るため、まず下水処理から取り組んでいる。24年初めに、処理能力が1日当たり120万立方メートルに達する竹園汚水処理場第4期プロジェクトが稼働した。処理された水質は排出基準を大きく上回る。

水源から河口まで、長江の水と生態系を守る取り組み

出産のため集団で青蔵公路を渡り、可可西里(ココシリ)にある卓乃湖へ向かう雌のチルー。(2023年5月29日、西寧=新華社記者/張宏祥)

 プロジェクトの建設を請け負った上海城投水務工程項目管理の王洪(おう・こう)副総工程師は、上海がここ数年、新たな下水処理施設の増設、既存施設間の接続管設置などを通じて生活排水の処理能力を向上させ続けていると紹介した。

 市内を流れる黄浦江は長江が東中国海に注ぐ前の最後の支流である。黄浦江では、専用の船が船舶の間をすり抜け、各船舶から出た生活ゴミ、生活排水などを回収しており、まるで陸上のゴミ収集車のように働く姿が見られる。

 上海市の市容(街並み)環境衛生水上管理処によると、上海では船舶汚染物移動回収ルートが10路線余り運用され、船舶汚染物の固定回収拠点が10カ所余り設置されている。

水源から河口まで、長江の水と生態系を守る取り組み

上海市閔行区馬橋鎮の黄浦江1級水源保護区に飛来した鳥の群れ。(2023年2月26日、上海=新華社記者/張建松)

 美しい長江は、野生動物の生息地ともなっている。青海省にある三江源国家公園長江源エリアにある可可西里(ココシリ)では、毎年多くのチルー(チベットカモシカ)が山奥に移動し繁殖する。ココシリのチルー個体数は現在、7万頭を超えている。

 上海市にある崇明東灘自然保護区には、豊かな干潟、湿地があり、シギ・チドリ類など渡り鳥の中継地、ガンやカモ、ツル、カモメなどの重要な越冬地になっている。生態修復、狩猟取締対策などの活動を継続的に推進したおかげで、保護区ではここ数年、関連鳥類の種類、個体数のモニタリングデータが過去最高を更新し続けている。(記者/李琳海、董雪、王金金)

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