日本企業にたび重なる問題、メイド・イン・ジャパンに影=専門家「中国企業も同じ問題に」―中国メディア

中国メディアの環球時報は29日、「死者数が4人に増える!小林製薬の危機がメイド・イン・ジャパンに影を落とす」と題する記事を掲載した。

中国メディアの環球時報は29日、「死者数が4人(現在は5人)に増える!小林製薬の危機がメイド・イン・ジャパンに影を落とす」と題する記事を掲載した。

小林製薬は28日、紅麹の成分を含む健康食品で新たに2人の死亡を確認したと発表した。その後1人の死亡も確認され、関連が疑われる死亡者は合わせて5人になった。岸田文雄首相は「原因の特定を進め、再発防止においていかなる施策が必要なのかを政府としても検討していく」と述べた。

環球時報の記事は「問題は日本国内外で広く注目され、小林製薬の対応の遅れに失望したと漏らす日本人もいる」とした上で、「近年、日本企業にはしばしば品質問題やデータ改ざん問題が報じられ、メイド・イン・ジャパンのオーラに影を落としている」と指摘した。

中国国内の状況については、「小林製薬の微博(ウェイボー)公式アカウントの投稿によると、同社が回収を発表した製品はいずれも中国市場では販売されていないが、各種プラットフォームや日本の店舗などで購入された商品については積極的に回収するとしている」と説明。また、同社の中国カスタマーセンターに問い合わせたところ、担当者は「何らかの症状が出た場合、病院の診断書と金額を提示してもらえれば、それに応じて払い戻す」とした一方、「中国の消費者に対する補償措置はあるのか」との問いには直接答えなかった、と伝えている。

中国農業大学食品科学・栄養工程学院の朱毅(ジュー・イー)准教授は「これまでの状況を見るに、今回の件は偶発的な事件で、同社は製品管理がうまくできていなかった。まだ具体的な原因は特定されていないが、大きな穴が生じていたことは確かだ」と指摘。「紅麹はわが国でも2000年以上の歴史があるが、わが国では相応の基準が設けられているため、消費者は過度に心配する必要はない」と述べたという。

記事は、「かつてメイド・イン・ジャパンには神話とも言える伝説的なイメージがあったが、近年は神戸製鋼所のデータ改ざん、日産やスバルの検査不正、タカタのエアバッグ問題、東芝の会計不正など、しばしば“爆雷(大きな問題)”を起こしている」と指弾。日本のメディアの報道として、「設備の老朽化や人手不足が違反を促進させた。コスト削減ばかりを唱えて生産現場の歪みに目をつぶった経営陣の責任は重い」と伝えた。

一方、上海対外経貿大学日本経済研究センターの陳子雷主任は「日本企業は海外企業との競争激化でコスト削減やサプライチェーンの拡大を進めたが、アウトソーシングの過程で製品の品質が影響を受けることとなった。今回の小林製薬の問題について、今後は背後でどのような生産、管理、雇用が運用されてきたのかを観察していく必要がある」と述べた。

また、対外経済貿易大学日本研究センターの呉英傑(ウー・インジエ)研究員は「日本企業はバブル経済の崩壊に伴い、経営にさまざまな困難を抱えてきた。中にはコストを下げるために検査員を減らしたり、検査段階を調整したりする企業もあった。“手抜き”の問題も出た。多くの企業はスタートした時のような積極的な姿勢で物事に取り組まなくなっているのかもしれない」とし、「同じような問題に直面する中国企業は転ばぬ先の杖として、潜在的なリスク解消にさらに力を入れるべきだ」と述べている。(翻訳・編集/北田)

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