車載先端半導体連合にスズキと日立アステモ参画、政府が10億円補助

Maki Shiraki

[東京 29日 ロイター] - 日本の自動車メーカーや半導体関連企業など計12社からなり、高性能な車載半導体の開発を目指す「自動車用先端SoC技術研究組合(ASRA)」は29日、スズキと部品メーカーの日立Astemo(アステモ)が新たに加わると発表した。経済産業省は同日、ASRAの研究開発に約10億円を補助することも表明した。

2社の新規加入は既存の参画企業が推薦した。自動運転などを巡る半導体の開発費用は巨額で、参画企業は協調分野で連携してコストを抑える狙い。先行する海外勢に対抗すべく、日本勢が結束し、産業競争力を高める。

ASRAの山本圭司理事長(トヨタ自動車のシニアフェロー)は会見で、半導体の性能が車の性能も大きく左右する中、「現状、欧米の半導体メーカーの優勢は否めない」と指摘。日本勢が「1つのチームとして開発を進める必要がある」と話した。外注では望む納期に半導体を入手することも難しくなっているという。各社が土台部分で協調することで「日本の半導体業界の底上げにも貢献していきたい」と述べた。

日本勢は電気自動車だけでなく、ハイブリッド車、燃料電池車など多様な選択肢で脱炭素化を図る方針だが、山本氏は「残念ながら車の多様性を吸収できる(半導体の)設計はない」とし、車側の要求に応える設計仕様にしたいとした。参画企業の数は、開発や意思決定を迅速にするため「やみくもに増やす計画は今のところない」と語った。

政府の補助金10億円は半導体の仕様を検討する第一段階での支援で、今後は進捗に応じて増額も検討する。山本氏は、具体的な投資額について明言を避けたが、「今後、数百億円規模の試験研究費が必要になる」と説明、「これを補助金で全額賄うかどうかは今のところ明確な結論は出ていない」と述べた。今後の事業拡大段階で誰が負担するのかなどは「経産省とも相談している」と話した。

ASRAは昨年12月に設立。車の知能化・情報化・電動化に必要なSoC(システム・オン・チップ)と呼ばれる多機能で高性能な半導体を参画企業で共同開発し、2030年以降の量産車への搭載を目指している。

既存の参画企業はトヨタ、ホンダ、日産自動車、SUBARU、マツダの自動車メーカー5社、デンソーとパナソニックオートモーティブシステムズの電装部品メーカー2社、ソシオネクスト、ルネサスエレクトロニクス、日本ケイデンス・デザイン・システムズ、ミライズテクノロジーズ、日本シノプシスといった半導体関連企業5社。

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