ホワイトハウス、米国のすべての連邦政府機関に「AI最高責任者」配置を要請

Image:lev radin/Shutterstock

3月28日、米国のカマラ・ハリス副大統領は、政府機関が人工知能をどう利用し、どの程度監視すべきかを定める新しい規則の概要を発表した。

合衆国行政管理予算局(OMB)によるこの新規則は、AIのセーフガードの導入、政府のAI利用に関する詳細を公表し、政府のAIプロジェクトを監督する最高AI責任者(CAIO)の各機関への任命という3つのカテゴリーに大きく分かれている。

この新規則により、各政府機関は今後60日以内にCAIOを任命する。またOMBのシャランダ・ヤング局長は「すでにCAIOを設置している機関は、その人物に追加権限を与える必要があるか、新たにCAIOを任命する必要があるかを評価しなければならない」と付け加えた。

またホワイトハウスは、新たにAIの専門家100人を採用し「信頼でき、かつ安全なAI利用」を促進していくとしている。この政策では、AIプロジェクトを監督するAI政策委員会も設置する。すでにいくつかの機関は委員を置いているが、まだの政府機関は5月27日までに人材を配置する必要がある。

さらに、各省庁は12月1日までにAI仕様に関する「具体的なセーフガード」を実施することとされている。たとえば、渡航時には計画どおりの移動を可能にするため、米運輸保安局(TSA)による顔認識によるセキュリティチェックを免除できるしくみを導入するといったことを、ホワイトハウスは例として挙げている。

また、各省庁は労働組合と協力し、AIツールが既存の労働者に悪影響を与えないようにしなければならない。ホワイトハウスは今年後半、「連邦政府によるAIの調達には特有の課題がある」ことを認めた上で、政府が使用するAI製品を選択する方法についてのガイダンスも発表する予定だ。

なお、AI利用の透明性に関しては、政府機関は現在、使用するAIツールの一覧表を公開し、誰でも閲覧可能にすることが求められている。そのリストには、米国民の「権利や安全に影響を与える使用例」なども含めることとされている。

「政府、市民社会、民間セクターのすべての指導者は、人工知能が潜在的な危害から一般市民を守りながら、誰もがその恩恵を十分に享受できるような方法で採用され、進歩することを確認する道徳的、倫理的、社会的義務があると信じている」とハリス副大統領は述べている。

© 株式会社 音元出版