第2滑走路「検討中断」 小松空港、馳知事が正式表明

 石川県の馳浩知事は29日、県庁で記者会見し、小松空港の第2滑走路の整備について「現段階の判断として、検討は中断せざるを得ないとの結論に至った」と正式に表明した。第2滑走路の建設を想定していた防衛省用地で、同省が航空自衛隊小松基地の新たな施設の整備を計画しているためで、事実上の断念となる。

 馳知事は昨年12月、同省の計画発表を受け、木原稔防衛相を訪ねたところ「(第2滑走路整備には)大きな課題がある」との回答を受けていた。会見で知事は「防衛相の発言は重く受け止めざるを得ない」と述べた。

 一方、国の防衛力強化や民間の航空機需要の増加など、空港を取り巻く環境に大きな変化が生じた場合、議論再開の可能性は排除しないとした。

 第2滑走路の整備は馳知事が2022年3月の知事選で公約に掲げ、当選後に検討が本格化した。県の小松空港中期ビジョン策定検討委員会は現滑走路から海側に210メートル離れた地点に設ける案に絞った。

 ただ、防衛省が昨年末発表した計画では小松基地の戦闘機格納庫などの新設が盛り込まれた。その用地が滑走路の想定地と重複しており、実現が困難な情勢となっていた。

 木原防衛相は29日の閣議後会見で、知事の判断を確認していないとし「現時点でコメントすることは難しい」と述べた。

  ●輪島分屯基地と能登空港の強化を

 会見で馳知事は、能登半島地震で救助、支援活動に当たった空自輪島分屯基地や支援の拠点となった能登空港について「大きな役割を果たしてもらった。何らかの形で機能強化を国に要請したい」と述べた。4月にも上京し、要望を行うとした。

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