4年ぶりに全日本ロード復帰。ホンダの野左根航汰が「違うストーリーとチャレンジ」で目指す場所

 2024年シーズンにおける全日本ロードレース選手権のJSB1000クラスは、かつてないほどの強豪が揃っている。そのなかでも2020年にヤマハで王者に輝いた野左根航汰が、Astemo HondaDream SI Racingよりホンダのマシンを駆り、全日本ロードに復帰することも注目を集めている。メーカー移籍後の初戦は7位とシングルフィニッシュ。「難易度は高い」というがチャンピオンに返り咲く可能性は少なからず見えているようだ。

 2019年にヤマハファクトリーでJSB1000のチャンピオンを獲得した野左根は、その後スーパーバイク世界選手権(WorldSBK)で2年間を戦った。そして2023年はロードレース世界選手権のMoto2クラスに移ったが、怪我により序盤数戦は欠場となり、1年限りでその挑戦を終えることとなった。

野左根航汰(Astemo HondaDream SI Racing)/2024全日本ロード第1戦鈴鹿2&4 JSB1000

 そんな野左根が4年ぶりに全日本ロードの舞台に復帰。そして、かつての青いヤマハのマシンではなく、赤色のホンダのマシンで参戦することが決まった。今年のJSB1000は特に強豪が集結しているが、4年ぶりに帰ってきた野左根は「本当に役者が揃った」という印象を持っているようだ。

「長島哲太選手や水野涼選手、高橋巧選手の復帰で、本当にJSB1000にふさわしいライダーたちがたくさんいます。昨年から出ているライダーもすごく強力ですが、自分として目指す場所はもちろんチャンピオンなので、また違うストーリーとチャレンジで、今年は精一杯頑張りたいです」

野左根航汰(Astemo HondaDream SI Racing)/2024全日本ロード第1戦鈴鹿2&4 JSB1000

 体制が違えど、再び頂点を目指したいという野左根の開幕戦鈴鹿2&4レースは、リザルトだけ見ると決勝7位とやや厳しい走りだしとなった。しかし、事前テストでのシェイクダウンで転倒があったことから、セットアップが煮詰まっていない状態での入賞は前向きな結果とも受け取れる。赤旗が2度掲示される波乱の開幕戦となったが、そのなかでも“課題”が見えたようだ。

「トップグループの後ろでは走れていましたが、もう少し新しいバイクに合わせたライディングスタイルが必要です。まだ自分の乗り方がどちらかというとヤマハの乗り方な部分があるので、これからのラップタイムをもう少し上げていくには、やはりそこを変えていく必要があると思っています」

「今乗っているホンダCBR1000RR-Rはノーマルベースですが、すごく良く出来ています。ただ、そのセッティングできる項目がすごくたくさんあるので、いかにもう少し詰められるかが自分のなかで課題ですし、今後勝負できるのではないかと思います」

野左根航汰(Astemo HondaDream SI Racing)/2024全日本ロード第1戦鈴鹿2&4 JSB1000

 バイクは今季から改良が加えられた新型モデルとなったが、野左根は新旧関係なくCBR1000RR-Rでの経験が少ない。ヤマハYZF-R1とは「一概に比べられない」というが、初戦のみでも多くの伸び代を実感できていたという。

「今年においてはヤマハファクトリーや周りのライダーもどれだけ強いかも、簡単ではないことも自分が一番わかっています。正直に言うと2020年よりも難易度は高いですが、やはり目指すはチャンピオンです。まだ始まったばかりでこれからレースもたくさんあるので、しっかり煮詰めていきたいですね。次戦は得意なもてぎなので、事前テストからしっかり作り上げて、もう少しいい戦いができるようにしたいです」

 第2戦もてぎでは、2023年から導入されているカーボンニュートラル・フューエルでの初乗りになるという。開幕戦とはまた少し違った状態となるが、再びチャンピオンを目指す野左根は今後どのような走りを展開していくだろうか。

野左根航汰(Astemo HondaDream SI Racing)/2024全日本ロード第1戦鈴鹿2&4 JSB1000

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