工事が進むリニア中央新幹線の品川―名古屋間についてJR東海は、当初「2027年」としていた開業目標を「実現できない」として、断念することを明らかにしました。
JR東海が初めて「2027年の開業は実現できない」と明示
29日午後、国土交通省で開かれたモニタリング会議。静岡工区について、JR東海が提出した事業計画には次のように示されていました。 「トンネル工事の中でも極めて難易度が高く、掘削延長が長いにも関わらず、工事に着手できないまま工事契約締結から既に6年4カ月が経過している静岡工区が、 名古屋までの開業の遅れに直結しており、2027年の開業は実現できない」 静岡県の川勝平太知事が環境への影響に懸念を示し、着工を認めていない静岡工区。 JR東海は、品川―名古屋間の開業について、当初の目標を「2027年」としていましたが、去年12月、国への申請を「27年以降」に変更していました。 そして、29日に提出された資料で、初めて「2027年の開業は実現できない」と明示されました。 「残念ながら品川―名古屋間の2027年の開業は実現しないと、実現できないと考えている」（JR東海 丹羽俊介社長）
「自分の年齢だと間に合わないのかな」
東京の品川と名古屋を40分で結ぶリニア中央新幹線。 開業の遅れに対し、名古屋では── 「自分の年齢だと間に合わないのかなと思ってしまう。親戚が長野にいるので駅ができるのもあって1回は乗ってみたい」（60代男性） 「いろいろ事情はニュースで流れていて無理かなとは思っていたが、逆にいつになるんだろうっていう思いはある。時間が早くなるのはメリットなので、そこは乗ってみたい」（50代男性）
新たな開業時期は見通せず
品川―名古屋間に作られる停車駅の1つ「岐阜県駅（仮称）」の建設が進む、中津川市では── 「地形の問題もあるので難しいと思う。年齢的には1度くらい乗ってみたい」（中津川市民） 「早く開業はしてほしかったが、いつかできるなら延期でもよい」（中津川市民） 「都会に行く機会がここにいるとあまりないので、リニアが早くできて欲しいという気持ちがあったので、残念」（中津川市民） JR東海の丹羽俊介社長は29日、記者団の取材に対し「1日も早く、静岡工区を着工できるように全力を尽くしていきたい。地域のご理解を得られるように双方向のコミュニケーションを大切に、真摯に取り組んでいくのでよろしくお願いします」と話しました。
