40年の教育者人生に別れ 福島県郡山市のたから幼稚園教諭・渡辺紀子さん 教え子に思い託す

退職する渡辺さん(左から2人目)をねぎらう(右から)橋本さん、小畑さん。左は田中さん

 福島県郡山市のたから幼稚園の教諭渡辺紀子さん(63)は3月、約40年間の教育者人生に終止符を打った。近年は自身が担任を務めた3人と一緒に勤務した。園児と共に日々成長する教え子に「園を背負う存在になってほしい」と思いを託している。

 大阪府で生まれ、家族の転勤で各地を渡り歩いた。郡山女子大短期大学部を卒業し1981(昭和56)年、たから幼稚園に採用された。自分自身が触れ合いを楽しみながら、園児の気持ちを常に考えるよう心掛けてきた。

 2021(令和3)年春、卒園生の田中優月さん(23)、小畑夏海さん(23)、橋本こころさん(23)が同僚になった。年長「たけ組」当時の担任が渡辺さんだ。橋本さんは「友達との交流が盛んではなかったが、これが私の個性だと寄り添ってくれた」と語る。

 恩師との思い出が3人を幼児教育の道に導いた。いずれも郡山女子大短期大学部幼児教育学科に進み、同じ実習先で経験を積んだ。懐かしの幼稚園で、尊敬する「紀子先生」の〝後輩〟となった。

 最初は「大丈夫かな」と娘を見守る気持ちだった渡辺さん。今は「園児の対応は安心だし、職員の仕事も一生懸命」と頼りにする。「子どもの話をよく聞いてあげてほしい」とエールを送る。

 小畑さんは「先生が待ってるから幼稚園に行こう、というきっかけになる」と決意。田中さんは「困った時に近くにいて安心できる存在でいたい」と、幼少期の記憶を胸に抱きながら進む。

(郡山版)

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