ホークスが4日間で首位セルティックスを2度撃破!44本のショットで44得点を奪ったマレー「コビーは誇りに思ってくれているだろうね」<DUNKSHOOT>

現地時間3月28日(日本時間29日、日付は以下同)、NBAはレギュラーシーズン2試合が行なわれ、イースタン・カンファレンス首位のボストン・セルティックス(57勝16敗/勝率78.1%)、同2位のミルウォーキー・バックス(46勝27敗/勝率63.0%)が揃って2連敗を喫した。

現時点で両チームの差は11ゲームも開いているとはいえ、すでにプレーオフ出場を決めているセルティックスに加え、バックスも今季の優勝候補でありながら、この日はいずれもポストシーズン出場を目指す若手チームに敗れることに。

もっとも、セルティックスの2連敗に関しては、勝者のアトランタ・ホークスを称えるべきだろう。25日の一戦では前半残り4分23秒時点で30点差(38-68)をつけられながら、第4クォーター序盤に逆転し、シーソーゲームの末に120-118で劇的勝利。最後はデジャンテ・マレーの決勝弾で金星をあげた。

迎えた28日の再戦は終始1桁点差の接戦となるなか、第4クォーター残り27秒にボグダン・ボグダノビッチの3ポイントでホークスが同点に追いつく。すると延長では再びマレーが爆発。開始からプルアップジャンパーを立て続けに決めると、1点ビハインドで迎えた最後のポゼッションではドリュー・ホリデーとの1オン1からタフショットを決め切り、123-122でまたもや劇的な形での勝利を手にした。
両チームは昨季のプレーオフ1回戦で対戦し、セルティックスが4勝2敗でシリーズ突破。今季もここまではセルティックスがホームで2連勝を飾るも、ホークスの本拠地ステイトファーム・アリーナで行なわれたこの4日間での2連勝で、直接対決を五分で終えた。

しかも、ホークスは2月下旬以降オールスターガードのトレイ・ヤングが戦線離脱。加えて現在は先発フォワードのジェイレン・ジョンソンとサディーク・ベイ、控えセンターのオニエカ・オコングをケガで欠いているのだから驚きだ。

延長でセルティックスの総得点(10点)を上回る11得点を叩き出したマレーは、この重要な一戦でキャリアハイの44得点に7リバウンド、7アシスト、2スティールと大車輪の働き。さらにボグダノビッチが24得点、7リバウンド、5アシスト、ディアンドレ・ハンターが21得点、13リバウンド、クリント・カペラが12得点、13リバウンド、2ブロックと続いた。 なお、この試合でマレーは自己最多を大幅に更新する44本ものショットを放った。『StatMuse』によると過去20年間で44本以上のフィールドゴールを試投したのは、コビー・ブライアント(元ロサンゼルス・レイカーズ/引退試合を含め5回記録)とラッセル・ウエストブルック(当時オクラホマシティ・サンダー/現ロサンゼルス・クリッパーズ)の2人のみ。

マレーは44本のうち18本を決めたものの、成功率は40.9%と決して高くなく、同条件下での44得点というのは歴代ワースト7位タイの最少得点。2002年のコビーが41得点(試投47本)で同5位にランクインしていたこともあり、マレーは「そんなにたくさんのショットを打ちたくはない。けどコビーは僕のことを誇りに思ってくれているだろうね」と語った。

27日のポートランド・トレイルブレイザーズ戦とこの日のセルティックス戦前には腰の痛みを訴えていたマレーだが、試合中はケガに悩まされているような素振りを見せずに戦い抜いた。チームを引っ張る27歳のコンボガードはこう話す。
「僕らはタンキング(意図的に負けること)したりはしない。負けるためにやっているんじゃない。バスケットボールの試合に勝つために、どこまで高い順位まで上がれるかを目指して戦っている。だから痛みなんて関係ないんだ。

僕はこのチームのみんなから恩恵を受けている。だからこそプレーできて、高いレベルで競い合えるんだ。それが僕にできることであって言い訳はしない。それに僕は試合を心の底から愛しているし、チームメイトたちのことも大好きなんだ」

これで今季最長に並ぶ4連勝としたホークスは、イースト10位の34勝39敗(勝率46.6%)。4年連続のプレーオフ進出を果たすためには、プレーイン・トーナメントを勝ち抜くことが条件となりそうだが、チームは過去2年のプレーインで3戦無敗を誇っている。もし第8シードを勝ち獲ることになれば、第1シードが濃厚なセルティックスとのシリーズは、シード順に関係なく白熱したものになりそうだ。

文●秋山裕之(フリーライター)

© 日本スポーツ企画出版社