mol-74 - 新宿LOFTの歌舞伎町移転25周年を祝いつつ、パワーアップした自分たちを8年越しに見てほしい

mol-74が新宿LOFTのステージに立つのは8年ぶり!

──メレンゲと対バンという形での『DREAM MATCH』。この2マンのお話を聞いたときはどんな思いでしたか?

武市:mol-74を京都で始めた頃になるのかな、僕はカフェでアルバイトをしてたんですけど、そこで仲良くなった友人がいて家にも泊まりに行ったりしていろいろと音楽を教えてもらったんですよ。その中にメレンゲさんのアルバム『シンメトリー』(2009)もあって、当時よく聴いていたんです。だから今回お話をいただいたときに“メレンゲさんや!”ってすごく嬉しかったですし、そもそも前に新宿LOFTに出演したのっていつだろう? って調べたら、2016年で。新宿LOFTのお祝いで、めでたいタイミングでメレンゲさんと2マンができるっていうことはとても嬉しいですね。

坂東:そうね。僕は昔よく読んでいた『最終兵器彼女』っていう漫画の映画版でメレンゲさんが主題歌を歌っていましたし、アニメの『ピンポン』エンディングでも曲が使われていて。そんな大先輩と僕らが2マンできるなんて思ってなかったんで、とても嬉しい気持ちがあります。

▲メレンゲ

──アニメのテーマ曲を通じて耳にされた世代でもあるのですね。さらに、新宿LOFTへの出演は2016年以来になるのですね。

武市坂東そうですね。

武市:ミュージックビデオを撮る監督の方が主催したイベントで、My Hair is Bad、SHE'S、Halo at 四畳半、WOMCADOLE、それと僕らの5バンドで出演させてもらって。今回はそのとき以来ですね。新宿でのサーキットイベントがあっても僕ら、会場が新宿LOFTではなかったりしたので。

──8年ぶりの新宿LOFTのステージになりますが、そのときの新宿LOFTでの思い出や印象なども伺わせてください。

武市:当時、僕らが全国流通盤のCDを出して1年目ぐらいのときだったんですよね、なので大きなライブハウスに出たことがまだ、あまりなくて。(坂東と)僕ら2人とも徳島県出身なんですけど、新宿LOFTが今の場所に移転する前の西新宿にあったとき、好きなバンドのスケジュールとかを見ても“新宿LOFT”って書いてあって名前は知ってましたし、新宿LOFTという所に対しての憧れと言うか、出演してみたいなと思っていたライブハウスでしたね。それで初めて行ったときに“わ、広いな!”って思ったりしたのを覚えてますね。ステージも奥行きがあって広いなって思った印象があります。

坂東:2016年のイベントの前、2015年に『MUSIC LINKS』というイベントに出させてもらったのが新宿LOFTの最初になるんですけども、

武市:あ〜、それもあったね! 思い出した!

坂東:そのリハのときに、(共演した)雨のパレードといろいろ話したことが印象に残ってたりしてますね。

──ちょっと話が逸れるかもしれませんが、新宿LOFTに出演し始めた頃も今でも、京都で音楽活動を続けておられますよね。“東京でバンドをやろう”という発想にはならなかったのでしょうか?

武市:そうですね、上京することなく続けてますけど、僕が単純に京都が好き(笑)っていうのがあるんですよ。京都の街並みであったりとか程よく都市な部分も見えたり、歴史も感じられたりして今と昔が共存している感じだったりとか、ちょっと裏路地に入っても綺麗で絵になる感じだったりとか、そういうのが好きなところもありますね。あと、東京の満員電車が好きじゃなくて(笑)。

坂東:あ〜(笑)、うんうん。

武市:人と人が密着してぎゅうぎゅうですし詰めっていうのが。あれを経験するのかな…って思うと。バンド内でも“上京するか、しないか”っていうのがこれまでも何度かあったんですけど、住むっていうことになると向いてなさそうだな、という予感が何となくあって。僕は嫌だ(笑)っていうところと、書く曲も変わってきそうな気がするんですよね。あと京都って遠征が楽だと思うんですよ、西に行くにしても東に行くにしても。と思いつつ、僕は運転しなくてずっと坂東くんが頑張ってくれてるんですけど(笑)。

坂東:あはは。京都にずっと住んで慣れてるのもあるんですけど、東京に行ったら雰囲気に潰されそうやな(笑)と思いますね。

──今、武市さんが仰った“書く曲も変わってくる”かもしれない、というのはのは大事な部分ですよね。

武市:きっと、“自分が好き”っていうものがちゃんと多い所に住んでやりたい、っていうのがあって。あと、地元が遠くなる。距離感の問題っていうのは音楽にも関係していて、多分、京都にいなかったら今、僕たちがやっている音楽はだいぶ変わってるんだろうな、とかは思ったりしますね。

──そもそも、お二人が徳島から京都に出てこられたのは進学とか?

武市:そうです。僕と坂東が高校の同級生で、もともと高校のときにはmol-74っていうバンドはあったんですよ。厳密に言うと徳島の、同じクラスの4人組で結成はされていて。

──そうなのですね! それから、お二人が京都に行ってから現メンバーとなるギタリスト(井上雄斗)、さらにベーシスト(髙橋涼馬)が加わって2017年からこの体制で活動をされている、と。ちなみにバンド名から察するに、お2人とも理系なんですよね?

武市:それが2人とも文系なんですよ(笑)。僕が友達に化学の教科書を借りてペラペラめくっているとき、moleculeの縮約で“mol”っていう単語を見つけて…でも、文系なのに何で化学の本を借りたんやろ? って今、思いましたね(一同笑)。

音楽を通して会場全体が共鳴できるような『DREAM MATCH』に

──個人的に振り返ると、mol-74のライブを最初に拝見したのが新宿LOFTにも度々出演していたヒグチアイさんの企画(2019年)だったんですね、日食なつこさんも一緒に。

坂東:渋谷クアトロで、ですよね。懐かしい!

武市:すごい組み合わせですよね、ありがたかったです。

坂東:最初に僕らが、渋谷La.mamaでヒグチさんと2マンをしたことがあるんですよ(2018年)。

武市:ヒグチさんをお誘いさせていただいて、ね。その2マン、日食さんも見に来てくれはってた気がするんですよね、って、気のせいかな、どうだったかな。

──時系列的にはそういう歴史があったのですか。その3マンは異色でしたけどとても面白くて記憶にありますし、その次に拝見したのが昨年のandropとの2マン(@O-EAST/渋谷)で、andropの曲をカバーしたりしてたのも良かったです。

武市:僕が一番最初にandropを知ったきっかけの「MirrorDance」(2011)っていう曲を1コーラスぐらい、ちょっとだけカバーさせていただいて。

坂東:andropさんと(対バンしたの)も、すごく嬉しかったよね。

──バンドとしては、コロナ禍の2022年に自主レーベル(11.7/読み:イチイチナナ)を立ち上げていますよね。自主レーベルを立ち上げようと思ったのは?

武市:2019年にメジャーデビューしたんですけど、僕らの音楽の作り方っていうのがどうしても、季節感であったりとか時間帯とか、音で感じる風景的なものをすごく大事にしているんですね。メジャーだとリリースのスケジューリングとかがタイアップによって決められたりすることがあって、“この季節にこういう曲を聴いて欲しいな”っていう、自分らが大切にしている部分を、反映しづらい部分があって。もちろんメジャーだからこそできたこともあるし良さもいっぱいあるんですけど、自分らが大切にしてるものを一番前に持ってきて活動できたほうが良いんじゃないのか、っていう思いがあって。それで、ベースの髙橋が加入した日が11月7日なんですけど、その日付にちなんで自主レーベルの名前にした、っていう感じですね。でも前にラジオ番組でこの話をしたとき、(パーソナリティに)“重たいですね〜!”って言われました(一同笑)。

──でも、この4人でやっていくという証とも言えますよね!

坂東:もう(メンバー誰も)逃がさないぞ、っていう表れかもしれないですね(一同笑)。

──そして自主レーベルを立ち上げてからは初となるアルバムのリリースが発表になっています。

武市:5月22日(水)に3枚目のフルアルバム『Φ(ファイ)』をリリースします。今回は“光”をテーマにしたアルバムで今まさに制作中なんですけど、のびのびできているので1曲1曲、自分たちが大切にしている景色、時間、場所であったりとかを、ちゃんと体現できているのでヘルシーに、素直に音楽を作れている感覚があって。前の(自主レーベルを立ち上げ初となる作品の)ミニアルバム(『きおくのすみか』/2023)でも感じてましたけど、そんな感覚がまずありますね。

坂東:今が一番楽しいと感じていて、その気持ちが乗ったアルバムになっていると思います。ドラムに関しては今まではけっこうテックさんと音作りをしていたのを、自主レーベルになってからは自分自身で音作りにこだわって、やれることが増えて。その上でメンバーとやりとりをして、バチっと音を作れたときの気持ち良さみたいなものが増えてきました。単純に自分が成長できてると思うし、今回のアルバムも成長した音になっていると思うので、楽しみにしてて欲しいなと思います。

──楽しみに、と言えばこれまでの作品のアルバムジャケットも素敵なものが多いですし、そこも楽しみです。

武市:これはですね…今はまだ言えないんですけど、おそらく、あんまり見ない形になると思うので楽しみにしてて欲しいです。僕らも初めての形なのでスタッフさんたちを困らせてるんですけど、そういう意味でもメジャーにいたらこれはできていないことだと思うんですよね。自主だからこそ、自分たちの思いというものを汲んでくれるスタッフさんだったり、それこそメンバーであったり。こうして今、素直に出せることが音にも表れている気がするので、パッケージ含めて楽しみにしてて欲しいなと思います。

──リリースのことも伺ったところで。では最後に、新宿LOFTでメレンゲとの『DREAM MATCH』はどんなライブになりそうでしょうか、思いを聞かせてください。

坂東:まずは2016年ぶりの新宿LOFTで8年経って僕らもだいぶ成長してますし、この成長した姿で新宿LOFT移転25周年のお祝いもしたいですし、当時やっていた曲とかも入れたりして良いのかな…とか、個人的には思ったりはしてるんですけどね。何にせよ、新宿LOFTでは8年越しの、パワーアップした僕らを見て欲しい、と思ってます。

武市:まだセットリストは決めてないですけど、新しいアルバムからの曲はやりたいなと思ってますね。冒頭でお話しさせてもらった通りで昔に教えてもらって好きなバンドでもあり、新宿LOFTの周年のイベントとして対バンが叶うっていうのはすごくありがたいです。多分、きっと、メレンゲさんと僕らって共通する何かがあると思うし、X(旧Twitter)で僕らのファンの方も今回の2マンに反応してる方がけっこういて。化学反応、じゃないですけど何かこう…音楽を通して、会場全体が共鳴できるようなライブをしたいなと思ってます。

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