紅こうじ原料使用20年超のパン店主が抱える苦悩 「安全性確認されても販売再開できるか」

京都市内のパン店が使用していた小林製薬の紅こうじ原料(同店提供)

 小林製薬の紅こうじを使ったサプリメントによる健康被害の拡大で、厚生労働省が同社の紅こうじを使っているとして公表した全国173事業者のうち、京都、滋賀では計6事業者が含まれていた。事業者の間には動揺が広がり、不安を募らせた。

 「日を追うごとに大ごとになっていく」。小林製薬から紅こうじ原料の供給を受けていた京都市内のパン店の男性店主(52)は死亡例まで出る事態に驚きを隠せない。補償などを尋ねるため同社に電話してもつながらず、メールも返ってこないという。

 血中コレステロール値を正常に保つという効果に期待し、20年以上前から紅こうじ原料を使って食パンを作ってきた。固定客もできたが、状況は一変した。

 顧客への連絡や返金の対応に追われる。健康被害の報告は受けていないが「紅こうじ自体のイメージが悪くなってしまった。安全性が確認されても販売を再開できるか」と悩む。

 府内の食品メーカーは、問題になっている紅こうじとは種類が異なる原料を一部製品に使っていたが、念のため小林製薬の製品の使用を中止したという。数日前に保健所の調査があったといい「今後の対応は行政の指示に従う」と言葉少なだった。

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