プレミア天王山!マンチェスターC対アーセナルの見どころ【2023/24】

ロドリ(左)冨安健洋(右)写真:Getty Images

日本時間3月31日24時30分にエティハド・スタジアムでキックオフとなるマンチェスター・シティ対アーセナルの試合(第30節)は、2023/24シーズンのプレミアリーグ優勝を占う上で重要な1戦となることが明白である。現在、勝ち点64ポイントで首位につけるアーセナルと、それをわずか1ポイント差で追いかけるシティ。リーグトップが入れ替わる可能性も否めない重要な局面だ。

ともに代表ウィーク後の試合ということもあり、コンディションや負傷者の懸念もあるなかで行われるこのビッグマッチ。両チームによる直近5試合の対戦成績は、シティ4勝に対しアーセナル1勝とシティが大きくリードしている。しかし、今シーズン第8節にエミレーツ・スタジアムで行われた両者の対戦に目を向けてみるとアーセナルが1-0でシティを下しており、その差は着実に埋まってきているだろう。

ここでは、昨2022/23シーズンの優勝を争ったこの2クラブがどのような人選で第30節に臨むかを予想。試合のポイントについて解説する。


マンチェスター・シティ DFカイル・ウォーカー 写真:Getty Images

主力に負傷者続出のシティ

代表ウィークで手痛い打撃を受けたのがマンチェスター・シティである。GKエデルソンの負傷もあり、もともと万全の状態ではなかったシティ。正守護神の負傷はアーセナルとの大一番を迎えるチームにとって大きな懸念材料であったが、ここにきて代表ウィークにイングランド代表として出場していたDFジョン・ストーンズとDFカイル・ウォーカー、さらにはスイス代表DFマヌエル・アカンジ、ポルトガル代表のMFマテウス・ヌネスまでもが負傷してしまった。

ウォーカーに関しては、イギリスメディア『スカイ・スポーツ』が「出場できる見込みがある」と報道したものの、その他3選手については続報が待たれる状況だ。いずれにせよ、これらの負傷がジョゼップ・グアルディオラ監督の悩みのタネになることは間違いなく、当日のスターティングメンバーに注目が集まっている。

一方で朗報もある。アメリカメディア『ESPN』によれば、中盤の絶対的要であるMFケビン・デ・ブライネが出場できるようだ。第28節のリバプール戦ではややインパクトに欠けた同選手だが、その実力は折り紙付き。同試合で見せた先制点アシストのように、デ・ブライネがいるからこそ実行できるデザインのセットプレーにも期待である。


マンチェスター・シティ DFマヌエル・アカンジ 写真:Getty Images

キーマン不在で迎えるアーセナル戦

そんなシティだが、ポイントはバックラインの人選だ。現時点で欠場の可能性が高いストーンズとアカンジはどちらもグアルディオラ監督のもとで評価されており、どちらかがボランチの位置で起用されることによってシティのサッカーはアップグレードされていた。彼らのような本職センターバック(CB)の選手がボランチの位置に入ることで機能する可変システムは、第28節のリバプール戦でも採用され守備の強度を引き上げており、相手攻撃陣を悩ませていた。

しかし、このシステムのキーマンである両選手がどちらも欠場する可能性が高いことを考えると、今回は恐らく採用されないだろう。代わりにCBにはDFルベン・ディアスとCBヨシュコ・グバルディオールが起用され、ボランチの位置にはMFロドリと絶好調MFベルナルド・シウバが起用されると予想。昨シーズン同様、比較的可変の少ないプレーンなサッカーで首位アーセナルを迎え撃つのではないだろうか。


アーセナル DFガブリエウ・マガリャンイス 写真:Getty Images

アーセナルが抱える不安要素

一方のアーセナルも決して代表ウィークによる損失がゼロだったというわけではない。チームのエースでもあるFWブカヨ・サカがこの期間中に負傷しイングランド代表を離脱。幸い軽傷であるとの情報だが、シティ戦に出場できるかどうか不透明な状況でありアーセナルファンにとっては不安が残る。また、もともと負傷を抱えていたDFガブリエウ・マガリャンイスとFWガブリエウ・マルティネッリの復帰について未だ情報が少なくシティ戦も出場できるか不明だ。

仮にマガリャンイスが欠場の場合、気になるのがDFウィリアン・サリバの相方である。マガリャンイスはシーズン序盤こそ途中出場が続いたものの、第4節のマンチェスター・ユナイテッド戦以降は第10節のシェフィールド・ユナイテッド戦を除く全試合にスタメン出場しており、チームでの地位を確立してきた。そのためアーセナルはマガリャンイス抜きの実戦を今シーズンほとんど経験していない。ミケル・アルテタ監督はこのピンチをどう切り抜けるだろうか。

アーセナル DF冨安健洋 写真:Getty Images

怪我からの復帰組が鍵となるか

その策として考えうるのは、シーズン序盤に見られたDFベン・ホワイトをCBとして起用する策である。実際にホワイトがスタメン起用された今シーズン第1節(ノッティンガム・フォレスト戦2-1)と第2節(クリスタル・パレス戦1-0)に勝利できていることや、ホワイトがイングランド代表への召集を拒否しアーセナルでの練習に専念できたことを考えると、この大一番で再びホワイトがCB起用される可能性は十分にあるだろう。

また、DF冨安健洋とMFトーマス・パーテイの復帰もこの決断を後押しするものかもしれない。長らく怪我で戦線を離脱していた両選手だが、UEFAチャンピオンズリーグのラウンド16第2戦(ポルト戦)ではベンチ入りしており、シティ戦での復活が期待される。ホワイトがCBを務めたシーズン序盤の試合で、パーテイが右サイドバックとして出場していることや、第2節では冨安が左サイドバックで出場していたことを考えると、この試合でいきなり両選手がスタメンを飾る可能性もゼロではないだろう。


プレミアリーグのロゴ 写真:Getty Images

懸念を払拭する気迫あるプレーに期待

トップの座を懸けた大一番を前に、バックラインに懸念材料を抱えている両チーム。残りの試合数とポイント差を考えれば、少しでも失点数を減らし得失点差でも優位に立ちたいところ。この試合はもちろん今後もいかに失点数を減らして勝利できるかが、優勝争いをするチームにとっては重要だ。「たとえ怪我人が出てしまっても守り切れる」という気迫を感じられるような両チームの熱い守備に期待したい。

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