「俺だけレベルアップな件:ARISE」エグゼクティブPDインタビュー:アクションRPGにした理由や日本のユーザーへのアピールポイントを聞く

Netmarbleが2024年春に配信予定のiOS/Android向けアプリ「俺だけレベルアップな件:ARISE」。同作のエグゼクティブプロデューサーを務めるジン・ソンゴン氏へのインタビューをお届けする。

Netmarble Neoが開発した「俺だけレベルアップな件:ARISE」は、全世界累計142億を超えるPV数を誇るオリジナルウェブトゥーンシリーズ「俺だけレベルアップな件」を題材にしたアクションRPG。プレイヤーはハンターとなって異次元の敵の大群から人類を守り、その影を抽出して影の軍団を作ることになる。そして、新たなスキルやスタイリッシュなアクション、様々なハンターとその能力をコントロールできる連想プレイの仕組みを通じて、“レベルアップ”を体験することができるという。

今回、同社のエグゼクティブプロデューサーであるジン・ソンゴン氏に、リリースを間近に控えた本作について、気になる点を中心に聞いた。

――原作が大きな成功を収めたIPですが、ゲームサービスに期待している目標成果はどのくらいですか?

今回、グローバルで多くのファンを保有しているとても有名なIPを使用し、私達Netmarble Neoが自信のあるアクションRPGジャンルで「俺だけレベルアップな件:ARISE」を開発しました。目標はグローバルトップランキングに入ることですが、数値的な期待や成果より、まずは大勢のユーザーに作品を好きになってもらうことに大きな価値があり、それが目標です。

――原作の主人公「水篠旬」は、レベルアップを重ね世界で限られた人数しかいない「S級ハンター」として成長しますが、ゲームではどのようにバランスを設定したのか?

原作ウェブトゥーンで“筋肉ムキムキ”で登場する主人公を、どうやってゲームで表現するかとても悩みました。

そこで私たちは、「水篠旬」だけを操作するモードとハンターだけを操作する2つのゲームモードに分けてバランスを調整しました。

「水篠旬」を操作するときは、ハンターと影を召喚する形式で、ハンターを操作するときは、「水篠旬」なしのハンターたちだけでタッグアクションの戦闘を楽しむことができます。

2つのプレイ方法でバランスを決めて、プレイヤーには2つの面白さを提供できると考えています。この様にバランスに大きな問題が出ないよう「水篠旬」と他のキャラクターのバランスをうまく調整しました。

――転職時の演出はゲームオリジナルのものでしょうか?

「水篠旬」の転職時に確認できる場面はゲームのオリジナルカットシーンです。

これに加えて、「水篠旬」の転職の際、本人を越えてさらに高いところに向かうことになる「水篠旬」の内面の戦闘が行われる転職ダンジョンも今後登場する予定なので、期待していてください。

――ゲームオリジナルのキャラクターで特に注目してほしいキャラクターはいますか?

最初登場するオリジナルキャラクターはエマ・ローランです。フランス出身のA級ハンターで、フランスのユスティーツァギルドのムードメーカーという設定です。 可愛らしいルックスにもかかわらず、レイピアを使った鋭い攻撃を浴びせる「ファイター」でユーザーの方々に「俺だけレベルアップな件:ARISE」の究極で爽快なアクションをお届けする予定です。

――タイとカナダだけ先にOBTを実施していますが、その理由は?

まずIPファンの分布図を考慮した地域を選定しました。そしてアクションRPGテストに合う地域かどうかを調査し、この二ヶ国での実施を決定しました。

――シングルアクションRPGですが、ビジネスモデル(マネタイズ)が気になります。確率型アイテムの部分はどうなっているのか?

定額制とパス類の商品を導入予定で、それが多くの割合を占めています。確率型アイテムも存在しますが、ゲームをプレイすることで獲得できるアイテムも多数あります。

――ジャンルをアクションRPGとして選定した理由は?

ゲームを開発するとき、IPの特性を活かすことが重要だと考えました。実は他のジャンルを考慮していなかったわけではありません。開発過程でプロトタイプを2つ作りましたが、結局アクションRPGがこのIPに一番合うと判断しました。

ただ、アクションRPGと決定しても悩みはつきませんでした。結局、モバイルゲームでこのジャンルが大きく成功した事例がなく、PLC(プロダクトライフサイクル)を長期的に維持することが重要だと判断しました。アクションRPGで長期的にサービスできるコンテンツを準備し、「水篠旬」中心のプレイ、ハンター中心のプレイなど、互いに調和して長いサービスを維持できる作りにしました。

――オリジナルストーリーを実装する予定があるようですが、 原作ウェブトゥーン自体は2018年に完結しています。ここにゲームだけのオリジナルストーリーが入ったら、蛇足みたいになりませんか?

私達はまず原作ストーリーを忠実に再現することを最優先目標としてきました。

ですが、「俺レべ」の世界観には面白い要素が大変多くあります。コンピューターの話や君主の話など原作ウェブトゥーンでは扱われていない話をゲームだけで再解釈してストーリーを書きました。もちろん原作の監修を受けて制作しています。この部分を長く引っ張っていくつもりはありませんが、ストーリー内にサブストーリーという形で実装される内容もあります。

――キャラ獲得と課金モデルの関連性が気になります。

今回はキャラクターの獲得方法をたくさん用意しました。基本的にゲームプレイを通してシナリオがオープンすることでキャラクターを獲得することができます。

定期的なイベントを通じて獲得できるキャラクターもいれば、一部課金を通じて獲得できるキャラクターもいたりとはっきりとは区分されていません。長くプレイを継続することで十分なキャラクターを獲得できるように設計しています。

――2022年G-STARで公開した後に改善された部分はありますか?

当時は基本的な戦闘アクションプレイの基本となる部分を公開しました。そのため当時の戦闘アクションのクオリティや戦略的な部分は、まだ開発途中であり改善の余地が多数ありました。戦略的な戦闘プレイを拡充させることが優先課題で、コンテンツの充実や操作性の部分もかなり改善をしました。スマホだけでなく、PCやコンソールなどの様々なプラットフォームも同時に準備し、クロスプレイに対応できるよう細かく開発をしました。また、原作のストーリーを知らないユーザーも楽しめるように多方面に渡りクオリティアップを図りました。

――スマホだけでなく、クロスプレイに対応したプラットフォーム拡張をした理由はなんですか?

正式リリースの際にコンソールまで出たらベストでしたが、まずPCバージョンまで公開することになりました。PC版でSteamユーザーを満足させたらコンソール対応もスムーズになると思います。現状ではコンソールのリリースは早くても来年頃になると予想されています。

――タイムアタックコンテンツ「時の戦場」はeスポーツにも対応できると思いますが、意識して設計をしたのでしょうか?

タイムアタックコンテンツは最上位プレイヤーだけが楽しむコンテンツではないと考えています。基本的にプレイヤーが自らの記録を更新していく楽しさを体感できるように開発をしました。記録更新以降にも他のプレイヤーと競い合うことにストレスなくプレイができるように提供することがメインでした。

――「影の軍団」の育成は具体的にどのようなものになるのでしょうか?

原作同様、特定のモンスターを捕まえれば、影の抽出演出と共に影を獲得することができます。影はプレイを通じて原作のように一般、精鋭、騎士等級などに等級を上げることができ、グレードによって見た目や使用スキルなども変わっていき、どんどん強くなっていきます。

――正式リリースのタイミングにハンターは何名実装されますか?

正式リリース時にはハンターは20名実装される予定です。

――原作はすでに完結していますが、ゲームが原作ストーリーを全て消耗したらそれ以降のサービスはどう進行する予定ですか?

アップデートを着実に進める予定ですが、ゲームサービスが原作完結まで消耗するのにはある程度の月日が必要です。今後、様々なボスやハンターを実装していきます。外伝ストーリーなども今後アップデート要素として考慮していくほか、原作を全て消耗した後のゲームサービスについては、原作のD&Cメディアと作家のChugongと議論して展開する計画です。

――TVアニメは導入の部分が描かれていますが、アニメから入ったような人でもゲームでストーリー全体を楽しめるようなフォローアップはあるのでしょうか?

「俺だけレベルアップな件:ARISE」は、まず原作ストーリーをとても忠実に再現して没入感を体験できるストーリー演出に一番気を使いました。 ウェブトゥーンを読まずに初めてストーリーに接するユーザーも、新たにストーリーを読んでいくという感じで問題なくプレイを楽しめる設計になっています。

――日本市場において、「俺だけレベルアップな件:ARISE」を展開する上で特にアピールしていきたいところや、運用の中で意識する点はありますか?

日本ユーザーはゲームに対してのリテラシーが高く、特に鋭い目を持つプレイヤーが多い市場です。戦闘演出やストーリーのディテールなど、日本ユーザーの基準が高いため、少なくともその基準に失望させない完成度を見せたいと思いました。

そのため、特に戦闘やストーリーの演出に多くの労力を注ぎましたが、日本ユーザーから良い反応を得られれば嬉しいです。そして特に注意したい点は、運営をしながら信頼とコミュニケーションを大切にしたいという点です。アップデートを行うゲームはアップデート内容によってユーザーの反応も大きく変わりますし、日本ではリリース後のアップデート運営をうまく行っているゲームが非常に多いため、少なくともそのようなゲームと肩を並べる運営をしていきたいです。

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