アーセナルか、リヴァプールか、マンCか…史上最大級のプレミアリーグ優勝争いを制するのは!?

世界最高と呼ばれるプレミアリーグはシーズン終盤に差し掛かり、勝ち点1差に3チームがひしめく史上最も白熱した優勝争いが繰り広げられている。

今週の日曜日には、現在3位のマンチェスター・シティが首位アーセナルをホームに迎える大一番を控えており、全く目が離せないタイトルレースとなっているが、果たしてどのチームが有利なのか見てみよう。

[写真]=Getty Images

■首位はアーセナルだが…

残り10試合を迎え、アーセナルとリヴァプールが勝ち点64で並び、その2チームをシティが1ポイント差で追う展開となっている。得失点差の関係上、アーセナル(+46)がリヴァプール(+39)を抑えて首位に立っているが、アーセナルが優位というわけではないようだ。

各チームの残り10試合の難易度を見ると、アーセナルの試合が最も難しそうだ。ロンドンのサッカーメディア『football.london』は各試合の難易度を5段階で評価しており、その集計で最も難しいゲームを控えているのがアーセナルだ。まずは、今月31日の敵地でのシティ戦だが、これは最も難しい「難易度5」。その他にも敵地でのトッテナム戦やマンチェスター・ユナテッド戦といった「難易度4」の試合も残しており、10試合の合計難易度は「30」だという。

一方、2位のリヴァプールは難易度5の試合が1つもなく、敵地でのユナイテッド戦とアストン・ヴィラ戦という難易度4の試合が2つあるだけで、合計難易度は「27」。3位シティは、アーセナル戦が難易度5だが、他に難しいのは敵地でのスパーズ戦(難易度4)くらいで合計難易度は「28」。そのため残り試合のカードを考えると、リヴァプールとシティが優位と見られている。

実際にアーセナルはシティとのアウェイゲームは8連敗中(カップ戦を含め)。最後に敵地でシティに勝ったのは9年前の2015年1月。65パーセントの支配率を許しながら、粘り強い守備で2-0の勝利を収めて以降、エティハド・スタジアムでは一度も勝てていないのだ。そもそもアーセナルはホームゲームも含め、プレミアでのシティ戦は最近13試合で1勝12敗と散々な成績。唯一の勝利が86分にFWガブリエウ・マルティネッリが決勝点を決めた今季10月の対戦なのだ。そのため、今回のエティハド・スタジアムでの一戦もホームのシティが圧倒的に有利と見られており、データ会社『Opta』のスーパーコンピューターによると、シティの勝利確率が53パーセントなのに対してアーセナルは20%となっている。

現時点での優勝の確率を見ると、プレミア3連覇中のシティが本命視されており「43.5%」。一方でリヴァプールは「35.3%」、アーセナルに至っては「21.2%」と不利な状況にある。さらにアーセナルは、もし今週末のシティに敗れてしまうと、優勝確率が「9%」まで減少すると『Opta』は予想している。

同じようにデータを取り扱う『Gracenote』も優勝争いはシティとリヴァプールの一騎打ちと見ており、残り試合について「アーセナルは10試合のうち6試合がトップ10との対戦。さらに、そのうち5試合がアウェイゲーム」と指摘する。彼らの予想によると、最終成績はシティとリヴァプールが勝ち点86で並び、アーセナルは83ポイントに留まって20年ぶりのリーグ制覇を逃すという。いずれにせよ、アーセナルにとっては今週末のシティ戦が正念場となりそうだ。

ちなみに英国ブックメーカー『William Hill』の優勝オッズを見ても、シティが2.1倍、リヴァプールが3倍、アーセナルが3.75倍となっており、やはりシティが本命視されている。

■1ポイント差に3チームって…

そもそも、1992年に発足したプレミアリーグにおいて、第28節を終えた時点で1ポイント差に3チームがひしめく優勝争いは史上初なのか? 実は、そういうわけではない。例えばアーセナルが最終的に頂点に立った2001-02シーズンは、第28節以上を消化した3月2日にユナイテッド(57ポイント)、アーセナル(57)、リヴァプール(56)の3チームが1ポイント差の中にいた。2013-14シーズンなどは、シーズン終盤の5月4日の時点でシティ(80)、リヴァプール(80)、チェルシー(79)が1ポイント差の三つ巴を繰り広げていた。だが、いずれのケースも試合消化数に差異があり、「残り試合数も同じ」という条件を加えると、今シーズンはプレミア史上最も熾烈な優勝争いと呼ぶことができるだろう。

ちなみに2013-14シーズンは、残り3試合でリヴァプールが2位以下に5ポイント差をつけて首位に立っていたが、2位チェルシーとの大一番でスティーヴン・ジェラードが足を滑らせて失点を喫して差を詰められると、第37節のクリスタル・パレス戦では3-0のリードから追いつかれてしまい首位陥落。最終的にシティが頂点に立っており、やはり3つ巴のタイトルレースは最後まで何が起こるか分からないようだ。

■解説者たちの見解は…

あまりにも熾烈な優勝争いのため解説者たちも頭を悩ませている。元ユナイテッドのロイ・キーン氏も『Sky Sports』にて優勝予想は「決められない」と漏らした。「昨シーズンは最終的にシティが勝つと確信していた。今季も数週間前までシティが優勝すると思っていたが、少し怪しく感じてきた。リヴァプールが毎試合のように良いプレーでチャンスを作ってゴールを決め続けているからね。アーセナルも昨季と比べてフィジカル面が強化されたので、昨年のように失速することはないだろう。今季はどこが優勝するか決められない」

元リヴァプールのジェイミー・カラガー氏は、3連覇の実績を持つシティを警戒しながらも最後まで分からないと述べる。「首位はアーセナルだが、リヴァプールからすると彼らがシティに勝つか引き分けてくれる方がありがたい。シティはシーズン最後の5試合を見ると全勝しそうだ。だからシティが、これからの3、4試合で勝ち点を落とさなければ、彼らを止めるのは難しい。チャンピオンズリーグでは、アーセナルとシティが勝ち上がれば準決勝で当たることになり、かなり消耗するはずだ。だから、いま見えていることだけでなく、もっともっと何かが起こるだろう」

元リヴァプールのマイケル・オーウェン氏は「心情的にはリヴァプール」だが「理性的にはシティが今でもプレミア最強なのでシティが優勝すると思う」とリーグ公式HPで語っている。反対に元シティのネダム・オヌオハ氏は「シティに優勝して貰いたいが、今年はリヴァプールだと思う。監督が今季いっぱいで退任するなど、彼らは優勝する運命にあると思う」と話す。トッテナムでのプレー経験を持つ元イングランド代表FWダレン・ベント氏は「昨年の同時期は怪我で選手を失ったが今は選手層も厚い。経験も積んだのでアーセナルが優勝すると思う」と主張する。

結局、12名の元選手たちの見解によると、シティの優勝予想が「6票」、リヴァプールは「4票」、アーセナルは「2票」ということで、前人未到のリーグ4連覇を目指すシティがやはり優位と見られているようだ!

(記事/Footmedia)

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