市内外の多くのファンに愛されながら、14年前に閉店した佐野らーめんの人気店「じゅん亭」の味が30日、栃木県佐野市若松町の佐野らーめん予備校で1日限定の復活を果たす。同予備校が取り組む名店復活プロジェクトによる初めての試みで、当時の店のスタッフを探し出し、協力を得ながら「思い出の味」を再現した。同予備校の若田部賢(わかたべさとし)代表(50)は「1日だけだが、復活に向けた足かがりとしたい。お客さんの反応が楽しみ。ぜひ足を運んでほしい」と意気込む。
じゅん亭は1982年、洋食のシェフだった故川田潤(かわだじゅん)さんが若松町に開店した。川田さんは佐野らーめん会第2代会長を務めた。
店はラーメンだけでなくピラフなど洋食も人気だった。喫茶店風のモダンな店舗は、多くの若い人たちが集うスポットともなっていたが、惜しまれつつ2010年1月に閉店した。
同予備校では名店復活プロジェクトを進める中で、当時じゅん亭で働いていたスタッフを見つけた。同意も得られたため、昨年夏から味の再現などに取り組んできた。
何度も壁にぶつかったが、今年に入り、ラーメンなどの試食で、かつてのスタッフがつぶやいた「社長を思い出した」の一言で、ようやく再現への手応えをつかんだという。
当日は午前11時~午後3時、ラーメン800円で80食、ピラフ700円で20食、ともに限定で提供する。1日限りの復活だが、今後のプロジェクトの展開を見据えた試金石となる。
若田部代表は「味とともに、当時の懐かしい思い出もよみがえるのでは。復活することができれば、佐野のラーメンの新たな魅力を創出することにつながると思う」と話している。