「すごく寂しい気持ち」大手メーカー“瓶入り牛乳”終了に販売店もガックリ…止まらぬ値上がりと牛乳離れ

風呂上がりの牛乳と言えば、牛乳瓶を思い浮かべる方が多いかと思います。そのレトロさから老若男女に親しまれている牛乳瓶ですが、いま存続の危機に立たされています。牛乳そのものの、存在感が問われているんです。

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温泉や風呂上がりに飲むものと言えば…瓶入りの牛乳。静岡県焼津市にある日帰り温泉施設でも、子どもから大人まで湯上がりのお供として根強い人気だといいます。

<来場客>
「あ~うまいわ。これでないと飲んだ気がしないんだよな」

100年近い歴史を誇る牛乳瓶、いま存続の危機に晒されています。静岡市内の牛乳販売店では、これまで毎朝牛乳瓶の配達を続けてきました。しかし…

<静岡オリコミ健康事業部 松尾昌紀さん>
Qきょうはどんな1日?
「瓶の(配達の)最終日ということもあって、すごく寂しい気持ちになりましたね」

牛乳瓶の配達が終わる理由は、大手乳業メーカー・森永乳業の販売終了です。瓶は輸送や洗浄などでエネルギーを消費し、二酸化炭素を多く排出するとして、森永乳業は牛乳瓶の出荷をストップするなどと説明していますが、牛乳の配達が減ったことも販売終了に拍車をかけました。

<静岡オリコミ健康事業部 松尾昌紀さん>
「(契約)件数も、瓶の切り替えによって減ったし、出荷本数も減っているので、ダメージがあると言えばある」

東京商工リサーチによりますと、2023年、全国で牛乳販売店が休廃業・解散した数は、これまで最多だった2017年を上回り、27件と過去最多となりました。背景にあるのは「牛乳離れ」。牛乳そのものの消費量が減っていて、業界全体で頭を悩ませています。

この課題を解決すべく新たな動きも出ています。2023年11月に朝霧乳業と菓子店の「たこ満」が共同でオープンした洋菓子店です。消費が落ち込んでいる牛乳を違う形で楽しんでもらうためにオープンしました。

<たこ満SDGs推進部 廣瀬勇人さん>
「生乳をどれだけ使えるのかが菓子屋の役割かなと思うので、牛乳しかり、バター、生クリームをふんだんに使ったお菓子を使って、生乳の出口を作っていきたい」

新たな活用方法も見出されている牛乳ですが、近年の店頭価格の推移を見ると、静岡市では、1,000mlの紙パック牛乳の価格は、2018年の188円からじりじり上がり、2024年2月は、242円となっています。

静岡経済研究所の清亮介研究員は、牛乳の今後について、今後も価格は上昇すると予想していて、節約志向の加速で、安い牛乳を買い求める動きと健康志向により高品質な高い牛乳を買い求める動きの二極化が進むとしています。

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