自民党滋賀県連の不明朗支出、異例の不起訴で捜査終結 県連会長「検審申し立て含め協議」

大津地検

 自民党滋賀県連や県議団の口座から多額の不明朗な支出が見つかった問題で、業務上横領容疑で書類送検された県連前事務局長の男性(46)について、大津地検は29日、不起訴処分(嫌疑不十分)にしたと発表した。地検は「起訴するに足りる十分な証拠が得られなかった」としている。

 政権与党の地方組織で数千万円に上る不明朗会計が発覚し、内部調査で本人が横領を認めていたにもかかわらず、不起訴で捜査を終結するという異例の事態となった。

 関係者によると、前事務局長は2016~21年、事務局長として県連の預金口座11個で政治資金パーティー券の売上金などを預かっていたが、口座から約4492万円を着服したとして22年11月に県連が告訴。県議団も同12月、約2400万円を私的流用したとして告訴していた。県警捜査2課は先月26日、業務上横領容疑で前事務局長を書類送検していた。

 県連によると、前事務局長は内部や第三者チームの調査に対し、私的流用を認めていた、という。

 地検は、県連の告訴分のうち一部は12日付で時効による不起訴とし、残りは同日付と26日付で嫌疑不十分の不起訴とした。県議団の告訴分は26日付で嫌疑不十分の不起訴とした。

 地検の処分を受け、県連の大岡敏孝会長は「極めて残念。滋賀の党員に申し訳ない。検察審査会への申し立ても含めて役員で協議したい」とコメントした。

 前事務局長は21年2月、マッチングアプリで知り合った当時18歳の女性に性的暴行を加えたとして京都府警に逮捕され、京都地裁で23年2月、懲役4年の判決を受けた。大阪高裁は一審を破棄した上で懲役3年の実刑とし、現在収監中。

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