警察署員が手続き怠り国選弁護人不在で取り調べ 実刑判決受けた受刑者が県を提訴

国選弁護人の選任手続きを怠ったとして滋賀県に賠償を求めて提訴し、記者会見する原告側代理人弁護士(大津市梅林1丁目・滋賀弁護士会館)

 滋賀県警草津署員が土日曜であることなどを理由に国選弁護人の選任手続きを怠り、弁護人不在のまま取り調べを受けさせられたとして、同署に逮捕され、後に実刑判決を受けた男性受刑者が29日、県に110万円の損害賠償を求めて大津地裁に提訴した。

 訴状によると、受刑者は同署に逮捕、勾留されていた2020年10月23日、国選弁護人の請求を希望したが、署員は対応せず、土曜だった翌24日は別の署員が「土日に国選弁護人は接見に来ない」として請求書を交付しなかった。26日に請求書の交付を受けるまで3日間、弁護人なしで取り調べを受けたとしている。

 憲法34条は「直ちに弁護人に依頼する権利を与えられなければ拘禁されない」、刑事訴訟法は、国選弁護人の選任について「何時でも弁護人を選任することができる」と定めている。

 大津市内で会見した代理人の関口速人弁護士は「弁護人選任権は容疑者の立場からすれば、自分が防御を受ける入り口で、その権利が侵害された。県警がどういう違法行為をしたのかを裁判所に認めさせることが必要」と話した。

 県警の渡口充彦監察官室長は「訴状が届いておらず回答は差し控える」とした上で「事案を深く受け止め再発防止に取り組んできた。引き続き職員の指導教養を徹底する」としている。

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