相次ぐ大手の「満額回答」は、地方の人材流出につながる…経営者も賃上げへ理解、原資確保へ労使協調で一致 連合鹿児島と県経営者協会が意見交換

賃上げに向け意見交換した連合鹿児島と経営者協会の会合=29日、鹿児島市与次郎1丁目の鹿児島サンロイヤルホテル

 春闘交渉の本格化に合わせ、連合鹿児島と鹿児島県経営者協会は29日、鹿児島市の鹿児島サンロイヤルホテルで意見交換した。2021年以来の開催で、連合と協会からそれぞれ10人が出席。共有した現状を踏まえ、中小企業の賃上げ原資確保に向けて、労使一体となって取り組むことで一致した。

 連合の下町和三会長は冒頭、「大手は高水準の結果を出している。県内民間企業の約9割を占める中小も賃上げしなければ。鹿児島で働く人が元気になるよう力を尽くす」と語った。

 余力の少ない中小企業の現状を指摘し「持続的な賃上げに向け、労働者も高付加価値化や業務効率化を考え、経営を後押しできたら」と歩み寄る姿勢を見せた。

 県経営者協会の岩元義弘会長は、原資確保が困難との声もあり、新型コロナウイルス禍からの回復状況にも差がみられるといい「企業の支払い能力を重視せざるを得ない」と強調。要求以上や満額の回答が相次ぐ大手との格差拡大には、人材流出を懸念し「従業員の生活を守るためにも賃上げは必要だ」と理解を示した。

© 株式会社南日本新聞社