富裕層旅行の誘客強化 富山市初の独自観光商品 食、文化で特別体験

ガラス工芸づくりを体験する海外の旅行会社関係者=2月、富山市の富山ガラス工房

  ●ガラス工芸や地酒、和菓子

 富山市は29日までに、富裕層向け旅行の誘客強化へ、初めて独自の観光商品を造成した。ガラス工芸や地酒、和菓子など富山の文化や食を織り込んだツアーとし、欧米に顧客を持つ国内外の旅行会社を招いた商談会で売り込みを本格化させる。富山の観光業界は能登半島地震の影響を受けた一方、北陸新幹線敦賀延伸で関西とのアクセスが向上しており、市は誘客の好機とみて、新年度はさらに商品を拡充する方針だ。

 市と市観光協会がつくった観光商品は4種類。富山ガラス工房所属のプロの工芸作家の教えでワイングラスを制作し、夜にはそのグラスでディナーを楽しめたり、岩瀬地区の日本酒バーで地酒と有名店の和菓子を味わえたりする内容となる。伝統木工技術「組子(くみこ)」の建具製造企業を訪れ、技術を体験できるコースも用意した。

  ●新幹線延伸が好機

 2月には欧米などに顧客を持つ国内外の旅行会社約50社が集まる商談会に参加し、観光商品をアピールした。市によると、造成に向けて海外の旅行業者らを招待した視察ツアーでも高評価だったという。新幹線敦賀延伸で関西と行き来しやすくなり、さらに誘客の好機とみている。

 藤井裕久市長は重要政策の一つに「自然環境や文化・産業を生かした稼げる観光産業の育成」を掲げる。市と協会は観光分野の有識者を招いて市内の文化や自然、食などの施設、スポットを回り、事業者らの協力を得て商品化の検討を進めてきた。

 観光商品は所要時間1時間半ほどの内容もあり、市は旅行会社によるツアーの一環や、広域観光で富山に滞在する旅行者の利用などを想定する。新年度は新たな商品検討に加え、商談会などで効果的に魅力を発信できるよう英語、中国語など5言語の短い動画を作成する。

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