芦硲主将、親子V挑む センバツ星稜30日準決勝

準決勝に向け調整する芦硲主将=兵庫県西宮市

  ●あと2勝「準備できている」

 第96回選抜高校野球大会で石川県勢初のベスト4入りを決めた星稜の芦硲(あしさこ)晃太主将(3年)が「親子で甲子園制覇」の偉業に挑む。父太輔(だいすけ)さん(44)は奈良・天理の1番打者として1997年春の大会で優勝。準決勝を翌日に控えた29日、息子は「勝つ準備はできている」ときっぱり。野球を教えてくれた父への恩返しまであと2勝に迫った。

  ●父・太輔さん、97年春、天理で栄冠

 28日の準々決勝、スタンドには太輔さんの姿があった。自身が栄冠をつかんでから27年。息子が「聖地」に立つ姿を感慨深く見守り、勝利が決まると「ここまで来たら勝ってほしい」と拍手を送った。

 太輔さんは天理から関大、社会人野球のフェデックスでプレーし、26歳で引退。その2年後に生まれた息子は2歳から父とボール遊びを始め、小学校に入ると大阪府河内長野市の自宅裏に作った打撃ケージで父の指導の下、ティーバッティングや筋トレ、トランポリンやロープを使った体幹トレーニングなどに励んだ。

 小6でU―12日本代表に選ばれた。中学時代は父がコーチを務めるチームに在籍し、練習後は自宅で深夜11時近くまで素振りするのが日課だった。自宅に飾られた父の甲子園での写真を見て「俺も絶対に行く」と憧れ、練習環境の良さを決め手に星稜に入学した。

 昨年11月、星稜は「秋の日本一」を決める明治神宮大会で優勝した。12月に帰省した際、芦硲主将は父に「今度は甲子園で日本一になる」と宣言。太輔さんは「簡単ではないけど、おまえたちの野球をやれば、きっと見えてくるよ」と励ました。

 トップバッターとして足でかき回す父に対し、勝負強い打撃でランナーを返す息子。父は「航空石川の選手や被災地の人の思いを背負う中で結果を出している。息子ながら尊敬できる」と目を細める。

 30日午前11時開始予定の高崎健康福祉大高崎(群馬)戦に向け、星稜は兵庫県西宮市内で練習を行った。芦硲主将は「非常にわくわくしている。石川の人であったり、応援に来てくれている人に勝利をプレゼントしたい」と胸を張った。

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