「信頼を得るのは二刀流より難しい」大谷翔平が貫いてきた“秘密主義”の影響を米紙が指摘!「謎めいたスーパースターだ」

現地3月28日、ロサンゼルス・ドジャースは本拠地開幕戦でセントルイス・カーディナルスと対戦。大谷翔平は「2番・DH」でスタメン出場を果たし、試合前の開幕セレモニーや第1打席では5万大観衆から盛大な歓迎を受けた。大谷は3打数2安打1三振1四球といきなりのマルチヒットをマークし、チームの7-1勝利に貢献している。

大谷は25日、いわゆる“違法賭博スキャンダル”に関して初めて自身の言葉で声明を発表した。元通訳である水原一平氏を巡る疑惑が一大騒動となっている事実を受けて、メモを参照しながらおよそ11分間に渡って真相を説明。「信頼していた方だったので悲しくてショック」「彼(水原氏)はみんなに嘘をついていた」「僕自身は賭けていないし送金もしていない」「彼が僕の口座からお金を盗んだ」「ホテルで(水原氏と)ふたりで話して嘘をついているなと気づいた」など、包み隠さずに率直な想いを明かした。

とはいえ、報道陣との質疑応答が実現せず、とりわけ「水原氏がいかにして送金できたのか?」という最大の疑問に対する言及がなかったため、米メディアの間では依然として懐疑的な見方が根強い。米紙『The Washington Post』のキャンディス・バックナー記者は「ショウヘイ・オオタニは彼と同じくらいミステリアスなスキャンダルの渦中にある」と題したコラムを掲載した。

そのなかでバックナー記者は、大谷が会見で話した内容をあらためて紹介。「選手であるオオタニは知っていても、彼がどういう人物かを世間はほとんど知らない。オオタニ自身も友人で通訳であるミズハラについてよく分かっていなかったようだ」とその“秘密主義”に皮肉を込め、「ミズハラは何かしらの手段を使ってオオタニの巨大な資産に手をつけ、パスワードで保護されているはずの口座から送金したという。私たちが聞かされたのは、このような信じられないシナリオである」と続けた。
さらにバックナー記者は「確かに会見では率直に話したのだろう。ただ、オオタニという人物については乏しい情報しかない。月曜日のスピーチを聞いていても、どこか遠い人物のようにしか感じなかった」と指摘したうえで、「MLBのキャリアを通じて距離を置いてきた世間から信頼を得るのは、野球界でもっとも偉大なツーウェイ(二刀流)選手になることよりも難しいのかもしれない」と論じている。

最後に記者は「彼は口を開いたが、混乱は終わらない」と記し、「野球界の謎めいたスーパースターであるオオタニに関してもっとも興味深いのは、たとえ彼が話しても、聞く者は暗闇に包まれたままだという点だ」との一文でコラムを締めくくっている。

構成●THE DIGEST編集部

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