「涙の女王」キム・スヒョンとキム・ジウォンがお似合い。どんでん返しが止まらない1〜6話レビュー【韓国ドラマ】

結婚生活の危機を迎えているふたりの間に、愛を取り戻す奇跡は起こるのか? 「涙の女王」は韓国tvNで2024年3月9から放送されているドラマ。Netflixで土曜と日曜に配信中です。マチュアリストでは全16話のレビューをお届けします。まず1〜6話について紹介しましょう。
※ネタバレを含みます

「“世紀の結婚”だと言われました。韓国一の財閥の令嬢と新入社員の結婚。もう3年になるなんてウソみたいです」と涼しい笑顔でインタビューに答えるペク・ヒョヌ(キム・スヒョン)。地方の出身ながらソウル大学卒。弁護士となって入社したクイーンズグループでホン・ヘイン(キム・ジウォン)と出会い、財閥の一員となったヒョヌは、誰もが羨む“逆玉の輿”だ。

だが、気が強く高慢な妻や家族たちからこき使われ、職場でも家庭でも自由がなく友人とヤケ酒の日々に、離婚を決意する。密かに作成した「離婚に関する合意書」を手に、離婚を切り出そうとするヒョヌ。すると、先にヘインの口から飛び出したのが「私、死ぬって。あと3カ月で」という言葉だった。

ということは。離婚しなくても3カ月我慢すれば、円満に死別できる、と思わずニヤけそうになるヒョヌ。明晰な頭脳をフル回転させ、「今後は君に尽くす」「愛している」と下心満載の手のひら返し。予想外のピンチに直面し、否応なく支え合うことになった2人に、愛をとり戻す奇跡は起きるのか。

脚本は大ヒットドラマ『愛の不時着』を手掛けたパク・ジウン。主役2人の生活を対比させるオープニングをはじめ、異なる世界で生きる男女のラブストーリーという設定、『不時着』出演俳優の登場など、1~6話にして随所に『不時着』オマージュが散りばめられていて楽しめる。何より、キム・スヒョン自身が『不時着』に特別出演して、緑ジャージ姿のコミカル演技で強烈なインパクトを残した縁もある。

そんなキム・スヒョンのクスッと笑わせてくれる演技は、『涙の女王』でも健在だ。愛を告白するシーンでは、「牛が30頭いる」と真顔で田舎暮らし自慢をして、財閥育ちのヘインを呆れさせた。「僕がかわいいせいで、ホン・ヘインに惚れられ、結婚するはめになった」と酔っ払い泣きする姿も胸をくすぐる。これは、『サム、マイウェイ』でキム・ジウォンが演じた役の有名なセリフをキム・スヒョンがアドリブで採り入れたものだという。

離婚したい夫、脳腫瘍で余命3カ月の妻、という深刻な状況にも関わらず、2人の演技に自然と笑いがこみ上げるのは、お互いが憎み合っているわけではなく、心のどこかに愛を求める気持ちを抱いていることが伝わってくるからだろう。

クイーンズデパート社長として大事なビジネスチャンスのパーティーに1人で出席したヘイン。遅れて仕事先から駆けつけたヒョヌは、颯爽とヘインをエスコートし、パートナーとしての役目を見事に果たす。スーツをスタイリッシュに着こなすイケメン夫に鼻高々のヘイン。キム・スヒョンとキム・ジウォンがビジュ最高のお似合いカップル過ぎて、ずっと見ていられる。

そして、財閥一族にとって年に一度の狩猟の日。毎年トップの成績だと豪語するヘインは、キジを目の前にしてどうしても引き鉄を引くことができない。そんなヘインに向かって突進してきたイノシシを、ヒョヌはためらうことなく一発で仕留めた。自らの死を意識するようになり、命の重さに怯んだヘインと、ヘインの命を守るために初めて獲物を撃ったヒョヌ。

実は、ヘインとの結婚の意思を伝えに実家に帰った日。思いが募って「死にそう」というヒョヌの背中を、母は「死ぬよりマシよ」と押した。母の言葉を聞いて、「生涯をかけて彼女を守る」と決めたヒョヌの誓いが、ストーリーの鍵を握っていそうだ。

ドラマが進むにつれ、ヘインは病気の影響で記憶が途切れるようになる。ヒョヌの実家を訪れ、散歩に出たヘインは、日の暮れた田舎道で迷子になってしまう。すると、ヘインを探すヒョヌの自転車の灯りが近づいてくる。怖かった、と涙を流すヘインを連れて、ヒョヌが歩みを進める道を先へ先へと照らすまばゆい光。ヘインにとっては、ヒョヌこそが人生の光なのだろう。

完治の可能性を求め、治療のためにドイツに旅立ったヘインを追いかけるヒョヌ。新婚旅行以来の胸キュンな時間。つらい治療に取り組む妻を励ますうち、2人の距離はみるみる縮まっていく。子どもを失い、家庭内別居状態だったが、宿泊先のホテルでは手をつないで休むところまでこぎつけた。

それなのに、だ。留守宅の金庫に隠してあった「離婚に関する合意書」の画像が、ヘインの携帯電話に送られてくる。悲惨なタイミングで、ヒョヌの離婚願望がバレた瞬間。怒りでキレるヘイン。どんでん返しが止まらない。

このどんでん返しのキーパーソンになりそうなのが、ウォール街出身のM&A専門家、投資家のユン・ウンソン(パク・ソンフン)。ヘインの大学同期で、親密な仲だったと言い、ビジネスパートナーとしてクイーンズグループに入り込んでくる曲者だ。緊張感と不穏な空気を振りまき、ヒョヌを窮地に陥れる。

ウンソンの目的は、クイーンズグループを手に入れることなのか? 財閥という“迷宮”に婿入りしたヒョヌは、これからどう立ち回っていくのか? そして再び、ヒョヌとヘインのラブストーリーは動き出すのか? シュールな笑いあり、心揺さぶる涙ありの展開で、週末の夜が来るのが待ち遠しい。

Netflixシリーズ「涙の女王」独占配信中

© 株式会社主婦の友社