姫新線維持のため真庭市がJR株「1億円」取得へ 保有率「0.006%」狙いは? 市長「JRには社会的使命がある」【岡山】

第1回目の再構築協議会が26日に行われるなど、ローカル線の再編議論が全国的に加速しています。そんななか、JR姫新線の沿線自治体である真庭市の議会は、先週、路線維持のためJR西日本の株式・1億円分を取得する議案を可決しました。全国的にも極めて異例の試み、その狙いを探りました。

(太田昇 真庭市長)
「姫新線がそもそも黒字になるなんてあり得ない。国民の足確保という社会的使命を持っているのがJRであるということをもう一度考えていただきたい」

インタビューでJRの社会的使命を強調したのは株式の取得を議会に提案した真庭市の太田市長です。

兵庫県の姫路市から岡山県の新見市までを繋ぐJR姫新線。

真庭市には久世駅や中国勝山駅など7つの駅があります。

姫新線は芸備線や因美線と同じく赤字路線のひとつ。JR西日本によりますと、姫新線の中国勝山ー新見間で100円の収入を得るためにかかる費用は3745円で近年は悪化の一途をたどっているといいます。

芸備線における全国初の再構築協議会が26日始まるなど各地で再編の議論が進む中、こうした流れに抵抗するかのように真庭市が表明したのがJRの株式取得。市議会では、来年度予算に購入資金1億円を計上する意図について質問が飛びました。

(氏平篤正議員)
「1億円では、株主発言は無理と思いますが、取得意図を伺います」

(太田昇真庭市長)
「今の株価で仮に、一億円で株式取得すると、だいたい1万5千株前後となり、保有率は0.006%ということになります」

1億円で株式を購入した場合保有率は0.006%。株主としてJRの経営方針に与えられる影響はほとんどないといいます。ではなぜ、株主を目指すのか。

(太田昇真庭市長)
「ただ社会的影響力が大きい。姫新線だけを会社(JR西日本)は考えません。赤字ローカル線全体を考えます。そういう意味では東も含めて、JR線をどうするのかというような国レベルの議論にしていかなければだめです」

株式取得は路線維持の議論を喚起するためのアピールと語った太田市長。市民の反応は…。

「賛成ではないな。他のほうに(予算を)使ってもらいたいな。」

「ふーんぐらいのことでしょう。(電車の)接続が少ないんですよね。」

「それなりに市長さんも考えられてやっておられるし、決してパフォーマンスなんかじゃないと思いますし、そう信じたいです。」

市民からはさまざまな声が聞かれます。太田市長は公共交通事業者としての責任を全うしてほしいと牽制します。

(太田昇 真庭市長)「JRは鉄道とは大量輸送だと。それができなければということだが、しかし、鉄路は繋がってこそ意味がある。数千万単位の赤字で切るようなことをすべきではない」

人口減少や災害への対策としても維持すべきだとし、改めてJRは設立当初の方針に立ち返るべきだと釘を刺しました。

(太田昇 真庭市長)「国鉄からJRにしたときに元々国民の土地を活用した事業で持って利益を出していく。新幹線の利益などで内部補助していくという考え方だった。そもそも姫新線が黒字になることはあり得ないところから出発している。元々の原点に立ち返ってほしい」

また採算性の重視が利用者減に拍車をかけているとして国とともに改善を図るべきと訴えます。

(太田昇 真庭市長)
「つまり本数を減らして不便になって乗らなくなる。この悪循環になっている。費用対効果の点でいくと色々と議論はあるが(利便性を)改善して国策という点からももたすべきだと思う」

その上で、今後の動きに含みをもたせました。

(太田昇 真庭市長)
「これは作戦がありますから。すぐ株主総会に行くことがいいのかを含めて考えるが、場合によってはそこで発言するのも一つだ。それから、真庭市への問いあわせは入っている。岡山県外から。こういう手法もあるんだというのがじわじわ広がっていけばいいんじゃないんでしょうか」

(スタジオ)
真庭市長は、利用者を増やすための具体的な方針にも言及しています。

「路盤の改良」や「新型車両の導入」などサービス向上を行えば、利用者が増加する可能性もあるとしています。実際に、同じ姫新線で増加した前例もあるということです。さらに今回の株式取得についてですが、この1億円という株式というのは、年に2%の配当金が見込めることからマイナスではなく、さらに億単位の買い増しも検討しているということです。

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