定年後に働かずに生きていくなら「年金」はいくら必要?

定年後にかかる生活資金はどのくらい?

2023年の全国家計調査によると、定年後の60歳以上または65歳以上の方が1ヶ月にかかる生活資金は、表1の通りです。

表1

※総務省統計局 政府統計の総合窓口 e-Stat 「家計調査 家計収支編」を基に筆者作成

単身世帯では15万円前後で、2人暮らし世帯では30万円前後の生活資金が必要となるようです。これらの生活資金の目安には持ち家の方も含まれているため、持ち家ではなく賃貸物件の方はさらに費用がかかってくると考えられます。

定年後に年金はいくらもらえる?

年金は「国民年金」と「厚生年金」に分かれ、原則65歳になると受給可能です。

67歳以下の方の年金受給額の目安は、国民年金と厚生年金を合わせて22万4482円(夫婦2人分)となっています。会社員の方は、国民年金と厚生年金の両方受給できますが、厚生年金が受給対象ではない個人事業主やフリーランスの方は、国民年金だけの受給となるため、年金受給額はその分減少します。

また、60歳から年金を受け取れるようにする繰り上げ受給や、66歳〜75歳までの間で繰り下げて受給できる方法もあり、繰り下げ受給を選択した場合は、通常よりも年金額が増える仕組みです。

年金だけでは生活資金が不足する可能性がある

令和4年度の厚生労働省の調査によると、日本人の平均寿命は男性でおよそ81歳、女性で87歳となっています。

仮に65歳で定年退職した単身男性が81歳まで生きるとすると、単純計算で14万9033円×16年=2861万4336円の老後資金が必要です。夫婦2人分の年金受給額が22万4482円であるため、単身の場合はその半分である11万2241円と仮定して計算すると、2155万272円となります。

つまり、老後資金と年金受給額の差額は706万4064円となり、およそ700万円が不足する計算です。月で換算すると、単身の場合は3万6000円程度が不足し、2人以上の世帯の場合はさらに不足金額が多くなります。

定年後のために老後資金対策を行いましょう

定年後の老後資金は概算ではありますが、単身ではおよそ700万円、2人以上の世帯では1400万円以上が不足します。

貯金や持ち家のある方は、生活費を補えたり支出を抑えられたりと不足分の対応ができますが、貯金も持ち家もない場合には働かずに年金だけで生きていくのは難しいでしょう。

年齢が上がれば急な病気やけがのリスクも高くなり、医療費や治療費、介護費用などの突発的な支出も増える可能性が高いです。定年後のあらゆるリスクに備えるために、老後資金の準備を検討してみてください。

出典

総務省統計局 政府統計の総合窓口 e-Stat 家計調査 家計収支編 2023年
単身世帯 <用途分類>1世帯当たり1か月間の収入と支出 表番号2 男女,年齢階級別
二人以上の世帯 <用途分類>1世帯当たり1か月間の収入と支出 表番号3-2 世帯主の年齢階級別
日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について
厚生労働省 令和元年簡易生命表の概況 1 主な年齢の平均余命(2ページ)

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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