合計9億6千万円…PCR検査巡る補助金不正、1都2県の3事業者に埼玉県が返還命令 刑事告訴を視野に県警に相談

埼玉県庁=さいたま市浦和区高砂

 新型コロナウイルス感染症のPCR等検査無料化事業を巡って補助金の不正申請があったとして、埼玉県は29日、「メディトランセ」(東京都)、「メタボスクリーン」(神奈川県)、「THREE ARROWS」(さいたま市桜区)の計3事業者に対する補助金交付を取り消し、約9億6700万円の返還命令を同日付で行ったと発表した。県は昨年3月にも1事業者の補助金交付を取り消しており、今回で計4事業者となった。

 県感染症対策課によると、他の都県からも返還命令を受けているメディトランセは、県内で行われた約14万件の検査について水増しなどの疑いがある上に、県の調査を拒否したことから約8億6200万円の全額返還を命じた。

 千葉県で行われた検査分を申請したメタボスクリーンには約7700万円(約1万2千件)を、THREE ARROWSには検査費用を過大に申請した差額分の約2800万円(約1万6千件)を返還するように命じた。

 制度は2021年12月~23年5月、国の地方創生臨時交付金を財源に実施。PCR検査や抗原検査を希望者が無料で受け、事業者に件数などに応じた補助金が支払われる仕組みだった。県内では142事業者644事業所に計約118億円が交付された。

 担当者は「不正な手段が用いられ非常に残念。厳正に対処していきたい」と述べた。刑事告訴する方向で県警に相談しているという。

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