旧基準木造住宅、耐震化を促進 福島県24年度、改修制度周知へ

 県は新年度、1981(昭和56)年5月31日以前の旧耐震基準で建てられた木造住宅の耐震化を促進する。家屋全体の耐震化と比べて費用が割安になる部分的な改修制度の周知を進めるほか、全体を耐震化する場合でも費用が抑えられる工法について関係団体とともに情報収集を進める。家屋の倒壊リスクを減らし、地域防災力の向上を図る。

 大規模地震が発生した場合、住宅の倒壊で犠牲者が出るだけではなく、倒壊した家屋で道路が寸断され、救助活動が困難になることが想定される。

 阪神大震災では、死者の約8割が建物の倒壊で犠牲になった。元日の能登半島地震でも倒壊家屋で救助活動に支障が生じるなど、減災に向けた耐震化は不可欠になっている。

 総務省の2018年の調査では、県内の木造住宅の耐震化率は83.1%。約9万4000戸は耐震化が進んでいない。県はその主な要因の一つが費用の問題とみる。

 家屋全体を耐震改修する場合、例えば2階建てで延べ床面積が175平方メートルの場合、約250万円の費用が見込まれる。県の補助事業(上限100万円)を使っても150万円は自費負担だ。このため県では、居間や寝室など一部の部屋に特化した改修費を補助する制度(上限60万円)も設けている。例えば75万円の改修の場合、手出しは15万円に収まる。県は07年から耐震化の補助事業を進めているが、181件の補助に対し、部分改修は少数という。

 県は「全体を改修した方が安全だが、倒壊で犠牲になるリスクを減らすためにも部分的な耐震改修を選択肢に加えてほしい」(建築指導課)としている。

© 福島民友新聞株式会社