秋田犬逃走! 捜索6時間、聞き込み50人超…飼い主捕獲を確認 兵庫県警三木署・井上警部補「けが人なくよかった」

地道な聞き込みで秋田犬の存在を突き止めた井上学警部補=三木署

 14日午前6時10分ごろ、兵庫県三木市末広3の路上で「秋田犬が走っている」と兵庫県警三木署に通報があった。同署員が捜したが、付近に犬の姿はなく、通報もこの1件きり。誤報の可能性も浮上する中、1人の署員が「もし子どもがかまれでもしたら」との一心で捜索を続けた。さて、その結果は-。

 当直明けの署員から引き継いだ地域課2係の井上学警部補(59)。通報があった付近の防犯カメラに犬は映っておらず、逃げたとされる方向の三木市加佐、平田、大村を重点的に調べることにした。

 散歩中のお年寄りや庭先で家事をする主婦に尋ねたが手がかりはない。「秋田犬を飼っている人を知りませんか」と質問を変え、広範囲を回る郵便配達員や運送業者にも声をかけたが、収穫はなかった。

 そんな中、犬が目撃された場所の近くにある新聞販売店の従業員が「大きな犬を飼っている人を知っている」。その家に向かうと秋田犬ではなく、紀州犬だったが、その飼い主が「秋田犬を2頭飼っている人がいる」と教えてくれた。

 教えられた先の住宅街を歩いていると大きな犬の鳴き声が。ついに秋田犬を飼っている家を見つけた。飼い主によると「朝の散歩中に犬の首輪からリードが外れて逃げたが、すぐに捕まえた」という。青い首輪、茶色で中型…。目撃された秋田犬で間違いない。

 捜索開始から約6時間が経過し、聞き込みをした住民は50人を超えていた。「何事もなくてよかった」と井上警部補。「私たちが動くことで住民の安全・安心につながるのであれば本望」と目を細めた。(小西隆久)

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