麺用小麦の新品種育成 山形大と農研機構、2030年ごろデビューへ

本県に適した小麦の新品種の開発に向けた研究内容について説明する笹沼恒男准教授(左)=鶴岡市・山形大農学部

 県産小麦を使った麺で、ラーメン県をさらに盛り上げようと、山形大農学部は29日、農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)と共同で新品種の育成に取り組んでいることを明らかにした。2030年ごろのデビューを目指し、雪に強い、高タンパクなどの特性を持つ新品種を開発している。

 県産小麦の生産量は年260トンほどで、東北全体に占める割合は2%弱。中華麺用は大半を海外産に頼っているのが現状だ。本県でも「ゆきちから」など雪に強い品種が栽培されているものの、より気候風土に適し栽培しやすく、高品質になる品種の開発を目標にしている。

 小麦は9~10月に播種し、翌年6~7月ごろに収穫する。冬期を挟むため、ぬれ雪による高い湿度下でも病気になりづらく、パンや中華麺に向くという高いタンパク質含有量を誇る品種を目指す。農研機構と20年度に共同研究契約を結び、同学部の高坂農場(鶴岡市)で育成に取り組んでいる。

 幅広い特性を持った数種類の品種を植え、梅雨の長雨の被害を受けないよう、早めに穂が出るわせ系統を中心に選抜を繰り返している。同じ品種でも育て方によってタンパク質含有量が異なるため、品質安定に向けた栽培方法の確立も研究している。

 同日の記者懇談会で笹沼恒男准教授(植物遺伝・育種学)と中坪あゆみ助教が説明した。笹沼准教授は「本県で育ちやすく、おいしい品種を小麦生産の起爆剤にし、県産小麦を使った山形ラーメンの普及と地域振興につなげたい」と話した。

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