岩手県内事業者も製造中止、回収 小林製薬、「紅こうじ」健康被害

健考館で販売していた「紅麹」。販売を中止、自主回収を進めている

 小林製薬の「紅こうじ」原料を使用した商品を製造・販売していた岩手県内事業者は、製造を中止したり、自主回収を進めるなど対応に追われている。県内で健康被害の報告はないが、事業者からは「小林製薬の対応が遅い」「風評被害が広がらないか心配だ」と困惑する声が上がった。

 釜石市鈴子町のアジテック・ファインフーズ(中村達也社長)は、ベジタリアン(菜食主義者)向けの食品業者から依頼され、小林製薬の紅こうじ原料を使った大豆ハムを10年以上前から製造してきた。対象商品は1種類のみで、着色に使っていた。問題発覚を受けて製造を中止し、販売を手がける商社に回収を依頼している。

 花巻市石鳥谷町松林寺の疾病予防温泉利用施設「健考館」は、22日から小林製薬の紅こうじ原料と同じ系統に由来する商品「紅麹(こうじ)」の販売を取りやめ、自主回収を進める。売り場に貼り紙を掲示し、これまでに開封済みを含め2袋を回収した。

 健康食品の受託製造を手がける夢実耕望(ゆめみこうぼう)(本社二戸市浄法寺町、岡田清代表取締役)は、注文を受けて昨年10月に製造したサプリメントに紅こうじが含まれていた。1個60粒入りを836個納品した。それ以降の注文はなく、納品先が自主回収を進めているとみられる。

 県内の保健所は事業者や県民向けの相談に対応している。今後は各広域振興局などを通じて2次流通先の調査も進める。県と盛岡市によると、29日時点で健康被害の相談や報告はない。

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