カーリング女子世界選手権、日本代表は11位で課題残る1次リーグ敗退

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ショットの精度に差、スキップ上野美優「率直に悔しい」

3月24日までカナダのシドニーで行われたカーリングの女子世界選手権は決勝で地元カナダがスイスを7―5で下し、5大会ぶりの優勝で幕を閉じた。初出場となった日本代表(SC軽井沢クラブ)は1次リーグで3勝9敗と負け越し、13チーム中11位で課題を残す形で敗退となった。

最終戦となったランキング格上のイタリア戦は第6エンドに4点を挙げて7―4とリードしたが、第10エンドに追い付かれ、延長の第11エンドに2点スチールを許して8―10で逆転負け。海外のアイスアリーナで氷の状態を読み切れず、勝負どころでショットの精度を欠く場面も少なくなかった。

23歳のスキップ上野美優は中継したNHKのインタビューで「率直に本当に悔しいですし、世界選手権の最初の入りから調子が上がらない中で、他のチームに比べるとまだまだ精度が劣っていて、苦しい試合が続いていたので練習を積んで成長しなければ」と現実を受け止めた。

将来の五輪選手育成を目指し、8年前にクラブが開校したエリートアカデミーの1期生でもある。「苦しい展開の中、1投でもより良いショットを目指して『挑戦心』を持てたのはよかったけれど、まだまだ精度が付いてこない」と突き付けられた課題を挙げた。

43歳の西室淳子は18年ぶりの世界選手権

43歳のベテラン西室淳子にとっては、2006年にチーム長野の一員として大会を経験しており、18年ぶりの世界選手権の舞台でもあった。

育児と両立しながら競技を続ける経験豊富なセカンドとして、他のメンバーが20代前半と年の差もある中で懸命にチームを引っ張ったが、無念の結果に。中継局の取材に「チームとしては初出場というところでベテランとしてサポートしきれなかったと責任を感じています」と悔しそうにコメントした。

大会は1次リーグ初戦でニュージーランドに8―6で勝ったものの、トルコに4―6、デンマークに5―6で連敗。エストニアに10―4で勝ち、ノルウェーにも8―5で勝利したが、強豪国のカナダに2―7、スイスに3―10、スコットランドに2―7で敗れた。

2006年大会は藤沢五月らLS北見が銀メダルの快挙

過去の世界選手権を振り返ると、日本代表は2016年大会(カナダ・スウィフトカレント)で当時LS北見の藤沢五月、吉田知那美と夕梨花の姉妹、鈴木夕湖の4人が銀メダルを獲得する快挙を達成したことがある。決勝でスイスに6―9で敗れたものの、日本のメダルは男女の五輪、世界選手権を通じて初めてだった。

その勢いに乗って2018年平昌冬季五輪で銅メダル、2022年北京冬季五輪で銀メダルに輝いたのは記憶に新しい。

チームの合言葉「新時代の主役」を掲げる軽井沢クラブは2月の日本選手権でロコ・ソラーレが2次リーグで敗退する波乱する中、初優勝を果たして今大会の世界選手権切符を獲得。2022年世界ジュニア選手権で日本勢初優勝を遂げたメンバーの中心、上野美優の妹であるリードの上野結生は「自分たちのプレースタイルを徐々に確立させて、課題が日本に持ち帰って再スタートしたい」と悔しさを受け止める。

サードの金井亜翠香は「初めての出場で日本では感じられないアイスアリーナの難しさがあった。世界のトップチームと差を感じた」と総括した。

2年後のミラノ・コルティナダンペッツォ五輪に向け、群雄割拠の新時代で藤澤五月ら率いる「ロコ・ソラーレ」との争いも激化しそうだ。



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