春風万里荘 かやぶき屋根、ふき替え 茨城・笠間 「桜開花期に」望みつなぐ

春風万里荘で行われているかやぶき屋根の修復作業=3日、笠間市下市毛

笠間日動美術館(茨城県笠間市)の施設で、多才な風流人として知られた北大路魯山人(ろさんじん)(1883~1959年)の旧居を移築した「春風万里荘」(同市下市毛)で、かやぶき屋根の一部ふき替えが行われている。リニューアルしてのお披露目が、桜の開花期に間に合うよう工事の進行を見込んでいたが、天候の影響で遅れ気味。ただ今年は桜の開花も遅くなることが予想され、同美術館は「花が残っているうちに間に合えば」と望みをつないでいる。

入母屋(いりもや)造りの古民家は、元々は江戸中期の庄屋の母屋。昭和初期の頃、魯山人が鎌倉に移築し、自らの住まいに使用。魯山人の没後、同美術館の運営母体の日動画廊(東京)が取得して笠間に移築。1972年から一般公開している。

今回修復が行われているのは、屋根の北側の面のみで、改修は12~13年ぶり。全面ふき替えではなく、使える材料はそのまま使い、傷みのひどい部分のみ、かやを入れ替えている。費用はクラウドファンディングで募った寄付金約200万円も活用し、自前の資金を充てて取り組んでいる。

工事は「常陸風土記の丘」(茨城県石岡市)のかやぶき職人が当たっている。2月17日に作業が始まり、3月中の完了を目指していたが、雨天の日が多く、日数がかかっている。3月25日時点で7割ほどの進捗(しんちょく)だ。

同美術館の亀山浩一管理部長(59)は「4月6日に(万里荘で)お茶会を催すので、工事完了がそれに間に合えばとも思っているのだが、やはり10日くらいまではかかってしまうかもしれない。ただ桜の開花も今年は遅いので、花が残っているうちに、工事が終えられる望みもある」と期待をつないでいる。

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