【40~60歳代】夫婦二人の「平均貯蓄額」は?子どもが巣立った後「2000万円」あれば余裕で暮らせる?

40~60代の平均貯蓄額と割合

金融広報中央委員会は公表している「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」によると、二人以上の世帯かつ40~60代の平均貯蓄額と、貯蓄している方の多い金額帯の上位三つは表1の通りです。

表1

※金融広報中央委員会 知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」を基に筆者作成

平均貯蓄額は、年代が上がるにつれて増額していくことが分かります。保有している金額の割合で見ると、40代は平均額に対して少ない傾向です。いっぽう、50代と60代は平均額よりも多い金額を保有している方が多くいます。

老後になると多額の貯金が必要となることもあるため、貯金をする際は平均額も参考にしつつ自分たちに必要な金額を知っておきましょう。また、割合からも分かるように平均額に満たない貯金額の方も少なくありません。貯金をする際は、できる範囲で継続することも大切です。

定年退職後に必要な貯金額は?

子どもも独り立ちし、仕事も定年退職した65歳以降に必要な貯金額を計算してみましょう。

総務省の「家計調査報告〔家計収支編〕」によると、無職の高齢者夫婦世帯では、毎月平均25万959円の食費や水道光熱費といった消費支出と3万1538円の税金や社会保険料などの非消費支出が発生しています。合計28万2497円で、年間にして338万9964円の支出額です。

いっぽう、平均収入は毎月24万4580円なので、支出額をまかなうには毎月3万7916円、年間だと45万4992円が足りません。この不足分を貯金でまかなうことになります。

例えば、夫婦で100歳まで生活できる分の貯金をしようと思うと、65歳からの35年間で1592万4720円の貯金が必要です。また、子どもが巣立った年齢によっては、年金の受給を開始するまでの収入や生活費についても考慮する必要があります。

表1より、60代では平均貯蓄額が必要な金額を超えているものの、40代では703万4720円、50代では445万4720円足りません。

つまり、40代と50代の段階でたとえ平均貯蓄額と同じだけ貯金できていたとしても、将来的に足りなくなる可能性もあるため、より貯金額を増やす必要があります。40歳から25年で、不足分703万4720円を貯金しようとすると、必要な貯金額は毎年28万1389円、毎月2万3500円ほど貯めていけばいいでしょう。

しかし、余裕を持った老後の生活資金を確保するためにも、なるべく早い段階で貯金を始めたほうがいいといえるでしょう。

貯金が2000万円あれば足りるとは限らない

もし2000万円あれば、65歳以降での支出の不足分を43年後の108歳まで支払える計算です。ただし、この数値は支出が家計調査報告での平均支出月額28万2497円を維持し続けた場合に限ります。

年齢を重ねると、病気やけがのリスクが高くなるため、医療費の出費が想定よりかさむ可能性も少なくありません。さらに、人によっては子どもや孫のために教育資金を出してあげたいと考える方もいるでしょう。

仮に大きな病気になった場合、治療に数百万円とかかる恐れがあります。もちろん、治療方法などは自分で調整できますが、最終的に2000万円を超える可能性もゼロではありません。

平均貯蓄額は年代が上がるにつれて上昇する

調査結果より、平均貯蓄額は40代から年代が上がるにつれ、大きくなることが分かりました。しかし、実際の割合で見ると、平均貯蓄額に届いていない方も多くいます。貯金をする際は、平均貯蓄額をあくまで参考としたうえで、自分にできる範囲で行うことが大切です。

また、もし65歳の時点で2000万円の貯金を有していた場合は、平均支出の不足分は100歳を超えて長期間補えることになります。ただし、病気やけがになったときや、孫に教育資金を送るときなどはより多くの費用が必要です。余裕があれば、より貯金額を増やしておくのも老後の資金対策としていいでしょう。

出典

金融広報中央委員会 知るぽると 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年) 表番号4
総務省 家計調査報告[家計収支編] 2023年(令和5年)平均結果の概要(18ページ)

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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