未来の主砲へ “しゃ”(射)程圏内 田村俊介・広島カープ 20歳の進化論 “配球読み&逆への反応” 意識

プロ野球で今シーズン、ブレイクを予感させるのが、広島カープの 田村俊介 選手(20)。「未来の主砲へ “しゃ”(射)程圏内 20歳の進化論」です。

広島カープ 田村俊介 選手
「…でも、今の時点では全然、まだ自分の夢はかなえられていると思っていないので、もっともっと結果を出して…」

注目と期待の視線は、カープファンのみならず、野球界からも注がれます。入団3年目、田村俊介。

2021年、彼は愛工大名電高からドラフト4位指名され、大きな希望を抱き、プロの門をたたきました。まだ、“18歳の少年” でした。

田村俊介 選手(2021年11月)
「小さいころから夢であったプロ野球選手っていうスタートがまず切れて、本当にほっとした気持ちになりました。愛工大名電からプロに行かれた先輩方っていうのは、全員が結果を出して有名になっているので、自分もそういうふうに有名になれるように少しずつがんばっていきたいなということは感じました」

あれから2年、田村は、し烈な1軍の舞台で戦う若武者へと成長しました。

田村俊介 選手(ことし3月)
「いや、(ここまでの)ビジョンはないですけど、やっぱり1軍で活躍しないと、今のプロ野球ってもう長続きしないですし、目標というか、1軍でレギュラーを取るっていう目標は、ずっとプロに入る前から目標として今もやっています」

田村が初めて1軍出場を果たしたのは、去年の3月31日、シーズン開幕戦。初めて内側から見る球場の景色に田村の鼓動は一気に高まりました。

田村俊介 選手
「去年の開幕のときの雰囲気の違いっていうところが、すごくやっぱりプロ野球だなっていう感じは自分でしました。代打だったので、ネクストで次、打席に入るっていうとこらへんからもうすごくアドレナリンがばっと出たというか、すごくテンションが上がりすぎたなとは思いました。ああ、これが1軍なんだなっていう感覚でした」

それから6か月―。3度目の1軍昇格を果たした田村は、スタメン起用された試合(去年9月12日)で念願だった一打を放ちます。

田村俊介 選手
「代打で結果が出ずに2軍に落ちてしまったときに、2軍で1打席1打席の大切さというか、1打席にどういう入り方をしないといけないかっていうのをずっと考えてあったので、3回目に上げていただいたときにスタメンで使っていただいて、なんか1打席だけじゃなくて、1打席、もし凡退してしまっても2打席目もあるっていう、ちょっと気持ちが楽になった部分があったので、それが結果につながったのかなとは自分で思っています」

まだ若手…、チャンスはそう多くはありません。その機会をものにした田村は、一気に勢いに乗ります。

右へ、左へ…、6試合連続ヒット。そのうちの2試合ではマルチ安打も放ち、その才能が開花します。

6試合 打率.444(18ー8)
9/12 一併 中安 二ゴ
9/13 中安 三振 三飛 遊ゴ
9/14 右二
9/15 中安 投安 捕邪
9/16 三振 三振 左安 二安
9/17 右二 遊ゴ 左飛

結果の裏側には、初打席とは全く異なる要素がありました。それは、打席での冷静さ。

田村俊介 選手
「自分が思っている以上に行き過ぎた部分はありましたけど、でも、あのときに次、次と気持ちがならずに落ち着いてやれたっていうのが、すごくよかったなとは思いました。メンタル的にも落ち着いて、ずっとプレーできていたので」

そして、2024年、春季キャンプを1軍で完走し、迎えたオープン戦(3月14日)、田村の真価が発揮されます。なんと2打席連続ホームラン。田村としても自信となる大きな一戦となったはずですが、実はその直前まで打撃に迷いがあったといいます。

田村俊介 選手
「そのホームランが出る前までは、なんかちょっと悩んだ部分もありました。変化球に対して当てにいってしまうというか、自分の持ち味である “しっかり振る” ってところがなんかできてないなっていう感じがあって、あの打席から割り切って、しっかりフルスイングしてみようと思って振った結果、ああいう結果になったので」

迷いの境地が生み出したシンプルな答え―。これは、積み重ねた努力の結晶でした。

田村が持つ打力は一級品。新井貴浩 監督からも「若手の野手の中では頭ひとつ出ている」と評価されます。

この打撃を作り上げているのが、田村が持つ “2つの意識” です。

田村俊介 選手
「自分が打席の中でまっすぐ1本で行くってときもありますし、変化球1本で行くってときもありますし、そういう打席の中で配球を読む割り切りというか…も、けっこう大事にして、その中で逆に来たときに反応で対応したいなっていうのはあります」

相手との間合いにも意識を向けます。

田村俊介 選手
「やっぱり打者って受け身になると思うので、受け身の中でも自分から攻めていかないといけないなと思いますし。ピッチャーが動き始める前から自分が動作を、動いていて、自分の動きにピッチャーの動きを入れ込んでやろうっていうぐらいの気持ちの持ち方というか、そういう感じで打席には入っています」

がむしゃらにボールを追いかけてきた “18歳の野球少年の顔” は、わずか2年の間に “プロの顔” へ…

田村俊介 選手
「去年の連続安打のときが一番いい感覚だと思うので、なんかやっぱり、それ以上を求めていくよりも、そこに近づけるためにどうしていくかが大事だなと思っていたので、オープン戦は少しそこに近づけたかなと思った部分はあったんですけど…」

カープ外野陣は、ベテランから若手までがしのぎを削る激戦区。プロ野球選手としての自分を確立するという、もう一つ上の夢。2024年、田村俊介は挑みます。

田村俊介 選手
「外野手として一番出た試合数が多いというか、そういうのが一番ベストだと思うので、そのためにはやっぱりレギュラーを取るっていう気持ちを忘れずに1試合1試合、しっかり結果を求めてやりたいなと思います」

そして、見すえる先は、自身がかつてあこがれていた存在のように、今度は野球少年たちの夢になることです。

田村俊介 選手
「今の時点では全然、まだ自分の夢はかなえられていると思っていないので、もっともっと結果を出して、なんていうんですかね、自分がいろんな人に目標とされるような選手にこれからなりたいなと思います。自分がいろんな選手を見ていても、まだ、あの選手すごいなと思う選手もたくさんいるので、そういうふうにまわりから思ってもらえるような、そういう選手になりたいなと思います」

◇ ◇ ◇

田村友里 アナウンサー
田村選手、顔つき・目つきが全然違いますね。プロの目になっていました。

アンガールズ 山根良顕 さん
3年目であんなになるもんですか。天谷さん、3年目のとき、どうでした?

RCC野球解説者 天谷宗一郎 さん
「もっと幼かったと思います。考え方もそうだし、顔つきもあそこまで精かんになることはなかなかないと思うんです。やっぱりセルフマネジメントがすごいですね。自分をどういうふうに持っていくかって、プラス、外的要因っていうものにうまくアジャストしているなと思うんです。これが20歳でできているのはすごいです。

アンガールズ 山根良顕 さん
やっぱり、すごいんだね。

田村友里 アナウンサー
あれだけ期待されていたら冷静さを失うじゃないですか。落ち着いていますよね。

アンガールズ 山根良顕 さん
ああ。でも、冷静だと思う。きょう(3月27日)、おれ、ここに来るまでに田村選手、おれのインスタをフォローしてくれていたの。

田村友里 アナウンサー
ええっ!

石田充 アナウンサー
開幕2日前に…

アンガールズ 山根良顕 さん
それぐらい落ち着いてんだなと思った。余裕があると思ったよ。

石田充 アナウンサー
メンタル的にも非常にいいかもしれませんね。カープの外野陣って 西川龍馬 選手が抜けて穴じゃないかって言われたときもあったと思うんですけど、いやいや、似たような選手が多いですね、天谷さん。

天谷宗一郎 さん
多いですよ。まだまだ今、売り出し中の 久保修 選手なんかもいますしね。

アンガールズ 山根良顕 さん
ホームランも出ましたし。

天谷宗一郎 さん
本当に勢いある選手が多いですよね。

石田充 アナウンサー
そういった中で新井監督も「頭ひとつ打撃は抜けている」という3年目、田村選手に注目です。

(RCC「カーチカチ! THE ゴールデン 2024 カープ開幕特番」より)

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