馬体の状態良好! ダービー馬・タスティエーラが戴冠に最も近い! 一方で、『大穴』には阪神コース大歓迎の秋華馬を抜てき【大阪杯】

3月31日、春の古馬中距離戦線の王者を決める大阪杯(GⅠ、阪神・芝2000m)が行なわれる。

ご存知のように、日本時間30日の深夜に開催されるドバイ・ミーティングにトップホース10頭以上が挑戦したため、ややメンツが地味になった印象は拭えないが、こればかりは仕方ないところ。この中から注目すべき馬をピックアップする。

実績面から捉えると、まず名前が挙がるのが昨年のダービー馬であるタスティエーラ(牡4歳/美浦・堀宣行厩舎)だろう。

昨年の三冠レースは、やはり日本ダービーの優勝が抜きん出ている。しかし、それだけではない。皐月賞、菊花賞の両GⅠレースとも2着。その後に臨んだ有馬記念(GⅠ)は6着に敗れたが、これは直線で進路をふさがれる大きな不利を受けてのもの。スムーズにレースを運べていれば、上位争いに加わっていたであろうことは容易に想像がつく。

また、呼吸が苦しくなるDDSP(軟口蓋背方変位)の症状が出たという情報があったが、堀調教師は「息遣いはいいし、DDSPの症状は出ていない」と、状態の良さをコメントしている。

休養明けながら動きは素軽く、馬体の充実度にも目を見張るものがある。迷うことなくタスティエーラに本命の印を打ちたい。
前日最終オッズでは、前述のタスティエーラを抑え、単勝オッズ4.7倍の1番人気に推されたローシャムパーク(牡5歳/美浦・田中博康厩舎)だが、こちらはやや過剰人気になっているような気がする。

人気の原因は、昨年のオールカマー(GⅡ)でGⅠ3勝のタイトルホルダーを差し切った鮮やかな勝利がファンの脳裏に焼き付いていると思われる。しかし、7月の函館記念(GⅢ)を勝つなど夏場も緩めずに使っていたローシャムパークに対し、タイトルホルダーは春の天皇賞(GⅠ)以来、5か月ぶりの出走だったというローテーション面での差異が結果に表れただけなのではないか、という疑問も沸く。もちろん「相手」からは外せない存在だが、連下までの注釈付き評価としたい。 そのローシャムパークと並びで対抗相手を挙げるなら、昨年のクラシック戦線を賑わせ続けたベラジオオペラ(牡4歳/栗東・上村洋行厩舎)とソールオリエンス(牡4歳/美浦・手塚貴久厩舎)の2頭だ。

特にベラジオオペラは、阪神実績が2戦2勝と得意コースに替わるのが強調点。ソールオリエンスは今ひとつ成績が優れないが、今回初めてブリンカーを着用し、3連勝で皐月賞を制した際に手綱をとった横山武史騎手を鞍上に呼び戻すなど、復活を期す積極性は買いだろう。

実績馬がそれぞれウィークポイントを抱えているため混戦は必至。前記3頭の一角を崩しにかかる「押さえ」は手広く流して好配当を狙いたい。

2022年の皐月賞を最後に勝ち星から遠ざかっているジオグリフ(牡5歳/美浦・木村哲也厩舎)は、前走の中山記念(GⅡ)で3着に食い込み、復調の兆しを見せた。ひと叩きされての、さらなる上昇につなげられるか。

その他、前走の京都記念(GⅡ)でベラジオオペラを抑えて勝利を挙げたプラダリア(牡5歳/栗東・池添学厩舎)、3連勝で重賞勝ちに結びつけたミッキーゴージャス(牝4歳/栗東・安田翔伍厩舎)も怖い。そして昨年のオークス2着に加え、秋華賞とエリザベス女王杯のGⅠレースで3着に入っている実績馬のハーパー(牝4歳/栗東・友道康夫厩舎)は、ぜひ押さえておきたい存在である。
そして「大穴」に指名したいのが、一昨年の秋華賞馬であるスタニングローズ(牝5歳/栗東・高野友和厩舎)である。

本馬は脚部不安で今回10か月以上の休み明けになるが、調教での動きは抜群でブランクを感じさせない動きを見せている。阪神のコース実績は〔3・0・0・2〕。秋華賞を勝ったのは京都の代替として開催されたものであり、着外2回のうちのひとつは2歳時のデイリー杯2歳ステークス(GⅡ)であり、得意コースと判断していいだろう。オッズと相談しながらになるだろうが、思い切って狙う価値がある1頭として挙げておきたい。

周囲では、「今年の4歳は弱い」という声をしばしば耳にすることがある。その声を跳ね返しての勝利はあるのか、それとも5歳以上のベテラン勢が意地を見せるのか。今後の世代間抗争も見どころのひとつである。

取材・文●三好達彦

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