[J1第5節]川崎 3-0 FC東京/3月30日/Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu
リーグ3連敗と苦戦していた川崎は、ホームでのFC東京戦“多摩川クラシコ”に、3-0で勝利し、等々力で今季初勝利を飾った。
34分にキャプテンの脇坂泰斗のゴールで先制したあと、なかなかチャンスを生かせなかったチームに83分、追加点をもたらしたのはアカデミー出身、大卒2年目のFW山田新だ。
しかも、そのゴールをお膳立てしたのが、川崎アカデミーから桐蔭横浜大へ進学するという山田と同じ経歴を持つ、ひとつ下の大卒ルーキーMF山内日向汰だったこともドラマチックであった。
ふたりは「分かり合っているので特に話すこともなかった」(山田)というが、83分に同時にピッチに送り出されると、直後に貴重な追加点を生み出してみせたのである。
そしてゴール後のシーンにも、熱いものがあった。
山内は愛着のある等々力で結果を残せたことに涙し、山田はその山内とは逆サイドへ一直線に走ったのである。
山田が向かったのは、コアなサポーターが集まるいわゆる“Gゾーン”と呼ばれるエリア。山田はプロになってから等々力ですでに得点を挙げてきたが、時間帯やシチュエーションの影響もあり、ゴールパフォーマンスでこのGゾーンに飛び込むのは初めてのことだった。事前から走ると決めていたわけではないという。だが、ある情熱が山田を駆り立てたのだろう。
「3連敗でサポーターに勝利を届けられおらず、そのなかでも背中を押してもらっていたので...喜びを分かち合いたいという想いが強かったです。
ユース時代から応援してくれている方もいますし、改めて感慨深いものがありました。顔見知りと言いますか、大学でのプレーを見に来てくれた方々もいて、全員のところに行きたい気持ちもありましたが、喜びを分かち合えて良かったです」
そして後輩の山内への想いも語る。
「彼が高校、大学と頑張り続けていた姿は、見続けていたので、結果的に自分のゴールでしたが、感慨深いものがありました。デビュー戦でアシストするとは...」
Gゾーンから戻った山田は、すぐさま山内のもとへ走り、喜び合う姿もあった。
奇しくもこの日の勝利で川崎はホーム200勝目を手にした。アカデミーで育ってきた山田、山内らは今後も新たな歴史を作っていくことだろう。
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)