金融機関、税公金事務で4月から手数料徴収 神奈川の自治体負担は24億9千万円に

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 神奈川県内の自治体の税公金を取り扱う金融機関が、ほぼ無料で引き受けていた窓口収納について、1件330円(税込み)の手数料を4月から徴収する。神奈川新聞の集計によると、全34自治体の2024年度の負担は17億5千万円。業界の制度変更で公金振り込みも10月に有料化され、その手数料も含めると24億9千万円にのぼる。

 公金を管理する指定金融機関(指定金)や代行先に支払う手数料を盛り込んだ24年度の当初予算案が、いずれの議会でも可決された。

 窓口収納の手数料の対象は33市町村が主に個人住民税の特別徴収(給与天引き)分、県が法人の県民税と事業税。1件330円で、一部銀行の電子収納分は220円と決まった。

 銀行間送金の経費(内国為替制度運営費)が10月から公金にも適用されるのに伴い、指定金は振込手数料も新たに徴収する。1件当たり自行宛てが55円、他行宛てが132円。神奈川新聞の集計によると、県内で7億3千万円が予算化された。3市町村の指定金は無料で継続する。総務省は、負担分を地方交付税で軽減する方針を示している。

 口座振替の手数料も、金融機関によっては1件11円から22円に引き上げられる。

 自治体側はおおむね、24年度の予算編成までに手数料を要望した金融機関のみを対象に歳出を計上した。交渉中分も組み入れれば、翌年度以降の負担はさらに増えそうだ。一部自治体は要望の有無によらず、全ての代行先を含めた手数料を24年度に予算化している。

 全国銀行協会(全銀協)の調査によると、窓口収納の1件当たりのコストは平均401円、中央値で296円。全体のコストを年間622億円と試算し、「極度に低廉」な手数料の見直しを自治体側に求めていた。     

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