「7時頃帰る」と言ったのに!夫の夕食作りをやめた妻は言う「夫に合わせる生活に疲れた」

結婚当初は自分にも時間があったので家事を引き受けていた。だが、二人の子どもができた後も、夫はやってるつもりなだけ。あまりにも配慮に欠ける夫の振る舞いにキレたのだが、表面的な理解しかしない夫に失望している。

共働きが多くなっているものの、家事にかかる負担は相変わらず女性のほうが圧倒的に大きい。 子どもに手がかかる時期であっても、「主婦として頑張ってしまう」女性は多いのだ。ふと、「夫に合わせる生活はいつまで続くのだろう」と考えてモヤモヤすることもあるようだ。

あるとき気づいた「夫に合わせてばかりいる」

8歳と5歳、ふたりの娘がいるアヤカさん(42歳)。週3回出社、2日は在宅で仕事をしているが、子どもが生まれてからは「とにかく毎日が忙しくて、飛ぶように日々が過ぎていく」という。 先日、結婚10周年を迎えたばかり。2歳年下の夫は家事も育児も「やってる」と思っているだろうが、アヤカさんから見ると「まったく足りない」のだとか。長女の宿題を見て、次女の保育園連絡帳を見ただけで満足してしまうタイプのようだ。 「夫は連絡が非常にいいかげんなんです。今日は早く帰ると言うから、ちょうどいい時間に食事の用意をして待っていると帰ってこない。ご飯はいらないと出かけたのに帰宅後に『なんか食べるものない?』と言うこともしょっちゅう。 私は娘たちとの生活時間を優先させて生活しているから、夫に振り回されるとイライラするんですよ」 夫は「僕が食べなかったら、翌日の昼間、アヤカが食べればいいじゃん」とこともなげに言う。それが彼女の神経を逆なでした。 「私がどんな思いで夫の食事を作っているか、まったくわかってない。子ども用の味つけやメニューじゃ不満だろうからとわざわざ別に作ることだってあるのに。 夫においしいものを的確な時間に食べてもらいたいと思うから頑張っているのに。そう思ったら腹が立ってたまらなかった」

「今日は7時頃帰る」と言ったのに!

つい先日、「今日は7時頃帰る」と言っていたので、アヤカさんは娘たちと先に軽く食べたあと、夫を待っていた。だが夫が帰宅したのは2時間後。会社を出ようとしたら先輩に引き止められて軽く飲んできたという。 「あのさ」 アヤカさんはついにキレた。 「私、あなたの食事を作るのやめるわ。これだけ期待が裏切られると、もう作る気になれない。私は娘たちと自分の分を作るから、あなたの食事は自分でやってと言いました。夫はきょとんとしていました。 私がどうして怒っているのか夫には伝わってない。食事を作るというのは、手間と心と時間がかかっている。愛情がなければできないことなんだよ、あなたはそれをないがしろにしている。そう言ったけど『ごめんごめん』と軽く流された」 翌日から、アヤカさんは本当に作るのをやめた。

夫の逆ギレ

最初のうち夫は冷蔵庫をごそごそ探して、適当に何か作っていたが、数日もすると音を上げた。 「主婦なんだから家族の食事くらい作ったっていいだろ。どうせ作るんだから少し多めに作って置いておいてよと言いだして。私はこの10年、ずっとあなたに合わせて生活してきた。 子どもができてからは子どもに合わせ、さらにあなたに合わせて。子どもは自分でできないから仕方がない。だけどあなたは大人なんだから、自分の食べたいものくらい自分でどうにかできるでしょ。 食べてくるなり買ってくるなり作るなり、好きなようにしてくださいと最後は敬語で突っぱねました。すると夫は『妻の反乱か』と。いや、反乱じゃないよ。もうあなたに合わせる人生が嫌になっただけ。 そう言ったら夫は『離婚したいの?』って。現状か離婚かのふたつしか選択肢はないのかと、がっかりしましたね」 夫は実は料理上手だ。ひとり暮らしが長かったので家事はもちろんできる。新婚当時、アヤカさんは夫に家事をさせるのが「なぜか忍びなくて」、いいよ、私がやるよと夫が家事をするのを阻止してしまった。それから夫はほとんどしなくなったのだ。 だが子どもがふたりになった今、ふたりきりのときと状況が変わったのはわかっているはず。たまには自分が早く帰ってきて食事を作るよとか、帰る30分前には連絡をいれるよとか、家族に合わせた行動をとることも必要なのではないか。 アヤカさんはそう言いたかったのだが、夫はわかっていなかった。

「押しつけがましいんだよ」と夫は言う

「10年の間に何かが変わっていって、何かがすれ違っていって。もうわかりあえないのかと、けっこう絶望的な気持ちになりました。最終的に夫は『だいたいきみは、家族のためとかあなたのためとか押しつけがましいんだよ』と逆ギレ。 わかった、だからあなたの食事は作らないって言ってるじゃない。もう食べてくれって押しつけないから、それでいいでしょと私も言い返して冷戦状態に突入しています」 夫の食事を作らなくなって、確かに時間的にも精神的にも楽にはなった。だが一方で、夫との関係がこれでいいのかとストレスはたまっていくのを感じているとアヤカさんはつぶやいた。

亀山 早苗プロフィール

明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。 (文:亀山 早苗(フリーライター))

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