自転車ヘルメット努力義務化1年 着用27%、10カ月で10ポイント増 鹿児島市で抽出調査 「髪形崩れる…」女性は約9割非着用

努力義務化から約1年となるが自転車のヘルメット着用者は少数派だ=29日、鹿児島市薬師町交差点

 自転車ヘルメットの着用が努力義務となった改正道交法施行から4月で1年。南日本新聞が3月29日、鹿児島県庁の駐輪場2カ所と鹿児島市の交差点で抽出調査したところ、着用率は27.4%だった。昨年5月の調査より10.8ポイント上昇。一方で「髪形が崩れる」などの理由で女性の約9割は着けていなかった。

 調査は29日午前7時半から1時間、県警と県庁の職員や来庁者が主に利用する県庁北駐車場と南駐車場、自転車通行量の多い薬師町交差点の3カ所で実施した。

 駐輪場利用者と交差点通過者計430人のうち118人が着用。女性は164人中21人(12.8%)、男性は266人中97人(36.5%)だった。

 最も高かったのは県警本部に近い南駐車場の62.3%(前回調査比28.5ポイント増)で77人中48人が着用。前回4.8%と最も低かった議会庁舎近くの北駐車場は187人中52人で27.8%(同比23ポイント増)。薬師町交差点は166人中18人、10.8%(同比7.8ポイント減)。

 3カ所ともスポーツタイプのヘルメットが多く、帽子型も目立った。昨年末、車と衝突しそうになり、ヘルメットを購入したという医療関係の30代男性は「身の危険を感じ必要だと思った」。着用していなかった女子高校生は「髪形が崩れるのが嫌。通学時だけ着けて、休日は着けない友達は多い」と明かした。

 県は昨年6月以降、北駐輪場で不定期の独自調査を実施。鎌田政久くらし安全対策監(56)は「着用率は徐々に上昇しているものの、呼びかける立場としては示しがつかない数字。引き続き意識を高めたい」と話す。

 県警によると、2023年の自転車乗車中の死者は2人、負傷者264人。23年7月の警察庁の調査では、鹿児島の着用率は全国平均より2.9ポイント低い10.6%だった。今春の全国交通安全運動(4月6~10日)で鹿児島はヘルメット着用を重点項目の一つに掲げる。

 ヘルメットを着けていない人が自転車事故で亡くなるリスクは着用者の約3倍とされる。県警交通安全企画課の森山英明理事官は「暑さや髪形など気になるとは思うが、命には代えられない。あごひもをしっかり締め、正しく着用して」と呼びかけた。

自転車のヘルメット着用を促すのぼり=2023年5月、鹿児島県庁南側駐車場

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