過去10年で最も遅いサクラの開花 去年より15日遅く

待ちわびたという人もいらっしゃるのではないでしょうか。気象庁が東京都心の桜の開花を発表しました。去年より15日遅く、過去10年で最も遅い開花となりました。

記者:「発表を前に、標本木の周りには多くの人が発表の瞬間を心待ちにしています」

東京の観測地点に定められている千代田区の靖国神社。多くの人たちが見上げるのは、ソメイヨシノの開花を判断する基準となっている標本木です。昼過ぎまで降り続いた雨もやんで太陽が顔を出し、上着を脱ぐ人たちも出てきた午後2時ごろ…

記者:「気象庁の職員が、標本木に咲いている桜を目視で確認しています」

3月28日の観測では4輪だけしか開花しておらず、開花発表の基準となる5輪以上にあと1輪、届きませんでしたが…

気象庁職員:「11輪を確認できましたので、きょうが東京の桜の開花日となります」

3月29日、ようやく発表された桜の開花。去年より15日遅く、過去10年で最も遅い開花の発表となりました。待ちに待った開花発表に、都内有数のサクラの名所では…

夜に花見予定の人:「マジすか、うれしい、きょうされるといいなと思っていたんですね。乾杯ってする時にきょう開花宣言なんですよって言えたらいいなって思ってたので嬉しいです」

今年は新型コロナが5類に移行してから初めての花見シーズンとなり、上野公園では去年、設けられていた午後8時までの時間制限が廃止に。閉園時間の午後11時まで花見が楽しめます。

早速、園内の花見エリアにブルーシードを敷いて場所を確保している人も。

花見の場所取り中:「あしたの昼のためです。きのうから(確保したが)、一回ブルーシードはがされてきょう1時に来て取り直しました」

これから本格化になる花見シーズン。桜とともに花見客の笑顔もようやく開花となりそうです。

ようやく都内の桜が開花しましたが、現在の桜の名所の様子はどうなっていますか?

木村キャスター:「私がいる後ろが中目黒駅です。都内屈指の桜の名所目黒川沿いに来ています。新型コロナ禍の前は桜のシーズンになると300万人ほどが訪れる人気スポットです。通りは提灯でライトアップされていますが、桜の様子を見てみますと、ちらほらと咲いています。午後5時過ぎに到着したとき多くの人でした。周辺は多くの飲食店が軒を連ねていて、「中目黒ひつじ」さんに聞いてみたところ「待ちわびていた」ということです。今週末にはさくら祭りもあります」

今年は桜の開花が、過去10年で最も遅くなりました。開花が遅れた要因はなんだったのでしょうか。そして気になる見頃は…気象予報士・敷波さんの解説です。

敷波さん:「ここ最近は平年よりも早く開花することが多く、記録的に早かった去年と比べると15日、半月も遅い、そして平年よりも5日遅い開花となりました。開花が遅くなった理由としては、ひとつは、2月後半から寒い日が多かったことが考えられます。3月に入ってからも雪が降る寒さとなったり、蕾の成長が足踏み状態となりました。

そしてもうひとつは、寒い日がありながらも記録的な暖冬であったことも要因として考えられます。都心の冬の平均気温は過去2番目に高い記録となりました。暖かいと、開花がより早まるイメージがあるかもしれませんが、桜の開花には、冬の寒さが必要なんです。

桜は前の年の夏には、花芽(つぼみ)を作り、秋になると一旦眠りについて成長を止めます。そして冬になり、寒さにさらされると、つぼみは目覚めます。これを「休眠打破」と言いますが、今年の冬は記録的な暖冬で休眠打破がうまく行われなかった可能性があります。つまりことしは、冬に暖かく、逆に春に寒かったことで開花が遅くなったと見られます。ただ、開花から満開へは一気に進みそうです。

この先の最高気温を見てみますと土日は24℃・23℃と初夏の暑さ、その後も20℃前後の暖かさが続きます。満開予想は、一週間後の4月5日です。ただ、これだけ気温が高いのでもう少し早くなるかもしれません。4月最初の土日は、見頃となっていそうですが、天気は崩れる可能性があります。3月30日、3月31日は青空の元、咲き進む桜を楽しめそうです」

© TOKYO MX