●一歩及ばず涙流す 同郷の航空石川・北岡から前夜エール
被災地の希望を背負って奮闘した。30日、春の甲子園の準決勝で惜敗した星稜。高岡市出身の専徒(せんと)大和選手(3年)は前日の夜、同郷の航空石川・北岡颯之介選手(同)から激励のメッセージを受け取った。先に聖地を去ったライバルの思いも胸に挑んだものの、あと一歩及ばず。「夏絶対に帰ってきて、この悔しさを晴らす」。悔し涙があふれ出る目に力がこもった。
29日夜、専徒選手のもとに北岡選手からLINE(ライン)が届いた。「あした頑張れよ」「頑張るわ」。小学生時代に高岡市選抜でチームメートだった2人。元日の能登半島地震が起きた時もやりとりし、専徒選手は練習のめどが立っていなかった航空石川の状況に心を砕いた。
競い合ってきた友からのエールは、被災地に勇気と笑顔を届けるとの気持ちを強くした。「航空の分まで勝ち切ろう」と気合十分に臨んだが、結果は振るわなかった。
四回の守備、無死一塁で右翼に飛んできたライナー性の打球を取り損ねた。「一塁ランナーに先に目が行ってしまった。気が早まった」。その後に2失点し「自分のエラーで負けた」と責任を背負い込んだ。
1、2年の夏に続き、自身3度目の甲子園。「引っ張っていくはずの人間が情けない姿で負けてしまった」とうなだれた。それでも顔を上げると「守備のミスをなくし、勝負強いバッターになれるよう、一からやり直したい」。潤んだ目に決意がにじんだ。
●保護者も応援継ぐ
被災地代表の2校の思いは、保護者も同じだった。星稜の中島幹大選手の父大悟さん(47)には、伏木海陸運送の同僚である航空石川・北岡選手の父保さん(47)から、「被災地に元気を」との願いを込めたメッセージが大会期間中に何度も届いた。
「航空の分も応援する」と声を張り続けた大悟さん。勝利はつかめなかったものの、「いろんな力を与えられたんじゃないか」と星稜ナインをねぎらった。